発生から28年を迎えた、阪神淡路大震災。被災地など各地で鎮魂の祈りが捧げられるなか、岡山市の消防局でも「記憶を未来へ」と、被災経験のある職員らが当時を振り返る講話が行われました。

(兵庫・神戸市 午前5時46分)
「黙とう」

竹灯籠で描かれた、「むすぶ」の文字。

(岡山市消防局 中野亮 消防司令)
「普段から5時半ころには起きているが、きょうは、特に17日は少し特別な日です」

1月17日。岡山市消防局ではここ数年、「職員による講話」が行われているといいます。


(岡山市消防局 中野亮 消防司令)
「どーんという衝撃で起こされて、よく言われる『縦揺れで1メートルぐらい落ちた感覚』。色々なところで悲鳴が聴こえ、異様な始まり方でした」

当時高校3年生だった中野さんは兵庫県西宮市で、被災直後の様子や、長期に及んだ避難生活を後輩らに数年前から語り継いでいます。

(岡山市消防局 中野亮 消防司令)
「しゃべった時には思い出すが、28年経つにつれて記憶が薄くなっている。こういう風な場を設けてもらったことはすごくありがたい。この職業になったことは、震災も大きな要因です。だから余計に経験を話せることはありたがい」
現在岡山市消防局には、兵庫出県身者が約30人ほどおり、17日にはそれぞれの職場で、有志が後輩らに講話を行っているといいます。

(岡山市消防局 岡田 大さん)
「積極的に声をかけてくれる、とてもよい上司です。出身地から被災者と知ってはいたがあのような思いを抱えていたことは初めて聞きました」

(岡山市消防局 中野亮 消防司令)
「家族にあらかじめ話をしておいてほしい。自分たちは家族が一番いてほしいときにいない。本当であれば大黒柱として家を守りたいときにいれない」
経験だけでなく、消防士としての覚悟を伝える機会にしたい。

(岡山市消防局 花田寛人さん)
「講話を聞き、やはり大変な思いをしている人がたくさんいる。自宅の準備、家族と話をしたうえで災害対応、多くの人の命を助けるために活動をしたい」

人口70万を超える岡山市。市消防局の職員は約750人です。隊員はもちろん、多くの市民にとって「自助」や「共助」の大切さを考える日にしてほしい、といいます。

(岡山市消防局 安原康右 消防司令)
「一番はケガをしない、閉じ込められない、われわれが必要ない状況を作ってもらえる、それを考えるきっかけになる日にしてほしい」

(岡山市消防局 中野亮 消防司令)
「ぐちゃぐちゃになっている状況のなかで、『やらないといけない』という覚悟をこの日のたびに思う。そのような職業についたということを感じられる場なので、毎年喋ることが出来たら」

震災から28年、今年の竹灯籠には、人や場所を結び、神戸から震災を伝えていこうとの思いが込められています。