コート上での意識を変えた瞬間

役割を認識した機会がある。

島村選手

若い頃は自分のエゴの処理が難しかった。リオ五輪の後、NECで大スランプに陥った。 スタメンに立てず、ベンチ外で過ごした苦しいシーズン。

「結局あの頃の私は、『コートの上で“自分が、自分が、自分が!”っていう、自分中心の狭いエゴばかりが前に出ていたんだな』って気づいた。『チームを勝たせるために、自分が今ここで泥臭くハードワークをやらなきゃいけない』というプロとしての責任感というより、ただ『自分が真ん中からクイックやブロードを決めたい!』『自分が世界を相手にシャットアウトして止めたい!』と、小さな自我が自分の真ん中に出ていたせいで、視野が狭く、体との連動が狂い、パフォーマンスがどんどん下がっていったんだなと。ハッと気づいたんです」

「自分のこれまでのキャリアの年齢で言うと、20代の後半に差し掛かったタイミングで、周りを活かそうっていうチームへの気持ちが、自分の中でより一層強くなりました」

プレーへの意識、アプローチが変わる。

「大スランプの後にコートに戻った時に、自分が『おとり』として周りを生かすプレーをより意識したんです。サイドにマークが1枚もいない『完全なノーマークの状態で、最高のバックアタック(パイプ攻撃)を決めてくれた』。 あるいは、自分が全力でおとりとして跳んだことで、逆サイドのレフトのアタッカーがブロック1枚の有利なシチュエーションでスパイクを決めてくれた。 『自分がボールに1ミリも触っていなくても、自分の“おとり”の動きによって仲間がもぎ取った最高の1点』を見た瞬間に、『自分が直接スパイクを決めるよりも、何倍もめちゃくちゃ気持ちいい!!』って、心の底からシビれるくらい感動したきっかけが、自分の中に強くあった。 多分、あの瞬間から、自分のコートの上での意識っていうか、自分1人のスタッツを追うだけじゃなくて、チームの『みんなの動き、みんなの表情』を、広く強く意識し始めたんだと思います」