プロとしてすべきこと

視点は変わった。でも中心軸は、揺らがない。

「自分の点数と、周りを活かすことの比重は?と聞かれたならば、私の頭の中では完全に『50対50(半々)』。ミドルの自分自身のクイックやブロードの攻撃力がコートの上で、相手にとって脅威になっていない限りは、自分がいくらおとりとして跳んだって、相手のブロックは1ミリも私に釣られてくれないっていう絶対的な構造がある。だから、プロとして最低限、自分のセンターラインとしての『クイックを決める仕事』は100%全力のクオリティでやる。それを自分の軸としつつ、同時にその裏の引き出しとして『周りのアタッカーも最高に活かしつつ』なので。そこの比重が大なり小なりになっちゃって、どっちか一方だけに偏ってしまうと、それはミドルとしてはちょっと戦術として違う」

島村選手(左から2人目)

「チーム全体の戦術のバランスを後ろから見なきゃいけないベテランの年代であっても、もし周りに気を遣うあまり、『自分自身のクイックの技術』がおろそかになって決定率が落ちているんだとしたら、そこはプロとして絶対に自分で調整していかなくちゃいけない。『周りを見る前に、まずは自分のクイックをしっかり100%上げてから、チームのためにやっていかなきゃ』って自分を律しなきゃいけない。 逆に、自分のクイックの調子がめちゃくちゃ上がりすぎて絶好調なのに、チーム全体が崩れていることに気づかずに「自分だけのバレー」になってチームのことをおろそかにしているのであれば、『今のチームのこの苦しい状況に対して、ミドルの自分が声をかけて関わっていかないと』って、自分を戒めていかなきゃいけない」

常に客観的で、冷静で、安心感を与える存在。

「プロのアスリートである以上は、まずは『自分自身の100%のパフォーマンスをコートの上に出し切る』っていう絶対的な大前提は、自分の中で最低限死守している。だから、あんまりどっちが「大なり小なり」とか比重を分けるんじゃなくて、『自分の得点力』も『周りを活かす包容力』も、もう両方を『=(イコール)』の100%のマックスの力で、頑張っていきたい」

今の自分にできること、今の自分にしかできないこと。

「今の私の年齢(ベテランの年代)だからこそ、コートの中で余裕を持ってそれが高いクオリティでできるはず。これから代表を背負っていくような『若い選手に関しては、チームのことなんてこれっぽっちも気にする必要はなくて、100%自分のことだけを中心に考えて、“セッター、今の苦しい場面でも私にトスを上げて!私が決めてやる!”って、それだけを望んでコートで戦ってほしい』。私は若い子たちに対して、むしろそういう強いエゴを望んでいるから。 若い子たちが自分のパフォーマンスを出すことだけに1点集中して、コートの中で一番暴れまわりやすいような『最高の環境(コート)』を後ろから作ってあげるっていうのが、私のようなベテランの“本当の仕事”」

試合後の女子日本代表

「チーム全体を見ると、仲間を思う気持ちっていうのが、人一倍、他の誰よりも強く持たなきゃいけない。自分が代表の中で多くの修羅場を経験させてもらった『ベテランとしての役割』、歳を重ねたからこそ、視野に余裕を持ってできるようになったのかなと思っている。これが、コートの上の『島村春世』のすべてです。『島村春世』という一人のミドルの生きる道なんです」

仲間が決める一球を、 誰よりも喜べる選手でありたい。
その想いは、これからも変わらない。

仲間が輝く“道”をつくりながら。
島村春世は、もう一度、世界の頂へ向けて歩き始めている。