取材後記

観測衛星「SAR衛星」で競争力をもつ日本だが、もちろん課題もある。

人工衛星はロケットを使って宇宙に打ち上げるため、ロケットの打ち上げ能力は不可欠。ただ、日本ではそもそもロケットの打ち上げ回数が少なく、Synspectiveは現在、衛星の打ち上げは海外の企業に委ねざるを得ないのが実情だ。

去年のロケットの打ち上げ回数を見ても、アメリカが181回(うち170回が「スペースX」)、中国が92回と続く中、日本は4回と大きく後れを取っている。衛星事業者にとっても、海外での打ち上げは輸送コストや煩雑な輸出手続きなどが必要となり、競争力を高める上で大きな阻害要因だ。

ただ、これまで官民一体となり日本が推し進めてきた宇宙開発は、Synspectiveのようなベンチャー企業の出現によって、徐々に実を結び始めている。これまで研究が主な目的だった宇宙開発は、技術の進歩によって人々の生活をより豊かにし、世界で「稼げる」商用分野にも広がりつつある。

日本は「SAR衛星」をはじめとした“勝ち筋”をさらに育て、宇宙分野で世界に勝つことができるのか、これからもその行く末に注目していきたい。

TBSテレビ報道局経済部 室谷陽太