リニア中央新幹線整備に関するこれまでの道のりについて
さて、今回の判断に当たり、リニア中央新幹線整備に関するこれまでの道のりについて、触れさせていただきます。
申し上げるまでもなく、リニア中央新幹線は、世界でも有数の人口集積地域である三大都市圏を新たに結び、巨大経済圏であるスーパーメガリージョンを形成するものであり、我が国の新たな国土の大動脈として、経済社会の成長を支える「国家的プロジェクト」であります。
静岡県としても、リニア中央新幹線建設を契機とした高速交通の将来像に大いに期待すると同時に、新幹線ネットワークのあり方が大きく変わり、東海道新幹線は、ひかり・こだま重視の輸送形態となることが想定されるなど、経済波及効果についても大いに期待できると考えています。
一方で、国に認可された計画では、静岡県内に駅は設置されないこととなり、また、貴重な自然の宝庫である南アルプスの直下を通り、大井川の水資源への影響が懸念されるなど、静岡県ならではの地域事情が発生いたしました。
こうした大井川流域や南アルプス地域をはじめとする静岡県の地域事情及びリスクへの不安や懸念に対し、当時のJR東海の初期対応は十分なものとは言えず、県、関係市町、利水者との間の意識のずれは決定的なものとなりました。
このことは、リニア中央新幹線に関する環境影響評価手続に係る県知事意見に集約されており、国土交通大臣に対する環境大臣意見にも「環境保全について十全の取組を行うことが、本事業の前提である」と述べられ、JR東海との間で、徹底的な自然環境保全措置を具体化することが必要不可欠となりました。
こうした状況の中、県は、大井川流域市町の意見を踏まえ、県中央新幹線環境保全連絡会議に「専門部会」を設置し、JR東海による具体的な自然環境保全措置を、科学的・工学的見地から専門的に検討する体制を整えました。
国にも参加していただいた2つの県専門部会は、本年3月の対話完了を迎えるまで延べ44回開催され、また、令和5年12月以降、JR東海と300回を超える実務レベルでの対話を積み重ねるなど、今日に至るまで、丁寧な議論を積み重ねてまいりました。
こうした徹底的な対話を踏まえ、田代ダム案による、トンネル湧水の全量戻し、オンサイト処理の実施による、要対策土の可能な限りの無害化・減量化、二重遮水シートとベントナイトシートを併用した徹底的な封じ込め、ネイチャーポジティブという新たな概念を盛り込んだ生物多様性の保全の取組など、静岡県の地域事情を踏まえ、他工区と比較しても踏み込んだ対策をJR東海が行う自然環境保全措置として盛り込むことができました。
工事着工後も、自然環境保全協定に盛り込む水質等に関する詳細な基準が満たされているかを定期的なモニタリングを通して管理するとともに、異常事象が発生した場合には躊躇なく工事を中断し、専門的な知見を踏まえた対応を行うことも合意することができました。
今後、工事が進む過程において、追加的なコアボーリングの実施などにより、さらなる環境保全措置が必要となった場合にも、環境影響評価審査会に設ける新たな部会等において、専門的な知見を踏まえた対策を検討してまいります。
様々な状況が進展する中で、本県の水資源及び生物多様性に対する影響が生じうるあらゆるケースを想定し、現時点において最善を尽くした検討を行うことができたことは、専門的な知見に基づき、国にも関わっていただきながら、十分な時間をかけて進めてきたJR東海との対話の成果であったと評価しております。
結びに当たり、ご協力、ご尽力いただいた全ての関係者の皆様に、改めて、感謝申し上げます。
流域10市町、静岡市及び利水団体の皆様とは、大井川水系の水資源の確保や水質の保全等の環境保全措置等について、県と一体となって、不安の払拭に向けた 検討に臨んでいただきました。
国土交通省におかれましては、有識者会議で本県とJR東海との対話に関しての論点を整理していただくとともに、今年1月には事務次官に立ち会っていただき、万が一の場合に備えて、水利用に影響が生じた場合の対応として、他に例のない内容を盛り込んだ補償確認書を締結することができました。
JR東海には、我々県との対話において、様々な経緯はありつつも、最終的には真摯かつ思い切った対応をしていただいたことで、本日を迎えることができたと考えております。
そして、県議会 の皆様におかれては、これまで、長きに亘り、リニア工事に係る諸問題について熱心にご議論いただき、この判断に至ったものであります。
誠にありがとうございました。
まさに「これからが本番」であります。
JR東海に対しては、将来にわたり、「リニア中央新幹線整備」と「大井川の水資源や南アルプスの自然環境の保全」の両立を遺漏なく実施していくよう、そして、県及び流域10市町等への正確な情報提供、住民の皆様への丁寧な説明等を行うよう引き続きしっかりと求めてまいります。
結びにあたり、引き続き、県議会議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、説明を終わります。














