大学生など15人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバスの転落事故。
15日で事故から7年を迎え、現場には遺族や関係者が訪れ犠牲者に哀悼の意を捧げました。

事故発生時刻の午前2時前。
「何年経っても胸が締め付けられます」
軽井沢町の現場には事故で重傷を負った大学生3人の母親が訪れ、慰霊碑に花を手向けました。
「月日が経つと薄れていくことだと思うがそうならないようにできるだけのことはやっていきたい」

2016年1月15日、軽井沢町の国道で県内のスキー場に向かっていたツアーバスが道路脇に転落。

乗っていた大学生など15人が死亡、26人が重軽傷を負いました。
事故から7年となった15日、現場には犠牲者を悼む遺族や関係者の姿がありました。
(池田彰(いけだあきら)さん)
「事故以来、娘に対する気持ちは何ら変わることなく悲しい気持ちは何にも変わらずにこちらに来ています」
(大谷慶彦(おおやよしひこ)さん)
「陸人(りくと)との思い出に関しては7年前で終わっておりますしそこから一切進んでいないということは変わらない事実で非常に悲しい、なぜこういった事故が起きてしまったかということに関しては正直言って怒りの一言です」

当時大学3年生の西原季輝(にしはら・としき)さんの母親はー。

「あの事故がなければ、あのバスに乗っていなければ、今どんな日々を送っているのだろうと考えない日はありません、すべての人の命を何よりも大切にできる日が来ることを心より祈っています」

当時大学2年生で次男の寛(かん)さんを亡くし遺族会の代表を務める田原義則(たはらよしのり)さんは。

「事故直後にこの場所に来た時の悲しさ、悔しさ二度とこんなこと起こしてほしくないという思いは何年たってもこの場所に来ると変わらない、安全管理を怠った場合の会社の責任というのはもう少しストレートに問えるような法整備がいるのではないかとか引き続き提言していきたい」
事故をめぐり、運転手への適切な指導を怠ったなどとして起訴されているバス運行会社の社長・高橋美作(たかはし・みさく)被告も現場を訪れました。

「事故でお亡くなりになりました皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます、関係するすべての皆様方に改めまして心よりお詫びを申し上げます本当に申し訳ありませんでした」
裁判では高橋被告と当時の運行管理者の荒井強(あらい・つよし)被告に禁固5年が求刑されていますが、2人とも「事故は予見できなかった」などと無罪を主張しています。
(田原さん)「今後起きないようにするには我々遺族としても何か発信できることはやっていきたいしそれが遺された遺族の使命かなと改めて思いました」
この7年の間にも全国で起きている痛ましい事故。

望むのは、再発防止です。
「今日この日に思いを新たにして率直な意見のやりとりをしたい」
15日は、遺族会と国交省などが再発防止に向けて意見交換をする場が設けられ、主に国が2016年に定めた安全な貸切バス運行のための「総合的な対策」について意見がかわされました。
日本バス協会は「運転訓練をいかに事業者に浸透させていくかが重要である」とし、「足りないものがあればその都度追加すべきだ」としました。

事故から7年。
会社側の刑事責任を問う一審の判決が下される今年、再発防止への取り組みは続きます。