「陳述書で答える」発言が引き金に 高市総理の答弁姿勢と二つの「火種」
なぜ今回、野党は全党一致でここまで強硬な姿勢を取ったのか。

国会空転の発端は、高市総理をめぐる一つの発言にある。6月22日、衆議院予算委員会の場で高市総理はこう述べた。
「近日中に、奈良の秘書の陳述書と、いわゆる暗号資産に関する記述などどこにもない相手企業から送られてきた唯一の提案書、これを予算委員会の理事会に提出させてください」
一部週刊誌が報じた「中傷動画疑惑」や、「サナエトークン」疑惑への問いに対し、口頭での答弁に代えて文書提出で対応しようとするものだった。野党はこの姿勢を即座に拒絶した。
立憲民主党の国対委員長は「陳述書に書いてありますから陳述書をご覧くださいみたいな答弁で終わってしまって、国会でのやりとりをする意味がありません」と批判。国会での審議が議事録として残される点も野党が問題視した核心だ。紙を提出して「それをご覧ください」という形では、どのような議論が行われ、どのような立場で答えたのかが記録として残らなくなるという懸念である。
これを受けて参議院側の野党は、総理入りの予算委員会と、党首討論の開催の日程が決まるまでは、他の委員会の審議日程の協議に応じないと宣言。参議院では以降、審議がストップした状態が続いている。しかし参議院自民党からは予算委員会や党首討論の日程が示されないまま、事態は好転していない。
参議院自民党の幹部からも、記者会見の場で「総理に出てきてほしい」という声が上がっているというが、状況が変わる気配はない。

自民党国対担当・佐藤記者は「高市総理がこれまでも国会側からの要求を断ることがあったと聞いている。また今回問題になっていることが、自分の近しい人物に関わる指摘であることも、表立って話すことへの抵抗につながっている可能性があるのでは」と分析する。
一方、衆議院で審議が停滞している要因には、与党が提出した「議員定数削減法案」と「副首都法案」の二つがある。
とりわけ定数削減法案は、「与野党の協議会で1年以内に結論が出なければ比例代表で45議席を削減する」という内容。比例代表は少数政党が議席を確保するための重要な仕組みであり、その削減は一般的に野党に不利とされる。
野党5党は6月25日に審議の見送りを申し入れたにもかかわらず、与党の委員長は「職権」で審議入りを強行した。これが野党の怒りに油を注いだ。

野党担当・奥村記者は「火種が残っている状態でさらに大きくするような行動を取ってしまったことで、余計にどんどん溝が深まってしまい、『じゃあもう委員会には出ません』と審議を拒否するようなことになってしまっている」と経緯を解説する。














