去年の年末、都内で発生した救急車の横転事故の原因が救急隊員の居眠り運転とみられることが分かりました。隊員らは事故発生までにおよそ17時間にわたりほぼ休みなく出動し、救急のひっ迫の影響で、現場ではこうした過酷な勤務が浮き彫りになった形です。
先月29日の午前1時50分ごろ、昭島市拝島町の国道で東京消防庁の救急車が患者の搬送を終え消防署に帰る途中、中央分離帯に衝突して横転し、車内の救急隊員3人全員が軽いけがをしました。
捜査関係者などへの取材で、車内のドライブレコーダーに運転席と助手席の救急隊員2人が事故直前に居眠りする姿が写っていたことが新たに分かりました。さらに、別の隊員も次の出動に備え車内で眠っていたということです。
3人は前日の朝に出勤し、およそ17時間の間ほぼ休みなく7件の搬送を担当していて、コロナの第8波による救急のひっ迫で、現場ではこうした過酷な勤務が浮き彫りになった形です。
東京消防庁によりますと、去年の119番通報の件数は103万6645件で現在の集計方法が始まった2015年以降過去最多で、救急車の出動件数も同じく過去最多です。
また、医療のひっ迫も救急隊員の業務をさらに過酷なものにしています。
総務省消防庁によりますと、救急隊が医療機関に対し患者の受け入れを4回以上照会するなどした全国の「救急搬送困難事案」は、今月2日から1週間で7558件と3週連続で過去最多を更新。
東京消防庁の関係者によりますと、先月、都内では新型コロナに感染後、重症化した90代の男性を病院に搬送するまでおよそ8時間かかったケースがあったということです。
現場の隊員はJNNの取材に対し「救急車の出動率は常にほぼ100%でトイレに行く時間もなく現場は疲弊している。今回の事故は起こるべくして起こったと思う」と訴えました。
元東京消防庁麻布消防署長 坂口隆夫さん
「救急車内で食事を取っても緊張状態で心が休まることはない。今の状況が続けば、隊員の疲労が蓄積され交通事故が起きる可能性は大きくなる」
こうした現状を踏まえ、東京消防庁は不要不急の119番通報を控えるように呼びかけています。119番通報の全体の件数のうちおよそ2割は不要不急のもので、東京消防庁は「救急車を呼ぶか迷った場合は『#7119』に連絡してほしい」としています。
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