スキーシーズン到来の長野県野沢温泉村。
新型コロナ関連の規制も緩和され、外国人観光客の姿も戻ってきました。
その野沢温泉で、いま注目の施設。それが、お酒の蒸留所です。
野沢温泉ならではの素材にこだわりながら世界レベルを目指します。


スキーと温泉の街、野沢温泉村。

新型コロナの影響も減り、インバウンドの観光客も戻りつつあります。

「趣味のスキーと伝統的な街を楽しんでいます」

「野沢温泉ではスキーやスノーボードのあとに温泉に行ったり(街歩きが)できるので、それがとてもいいですね」

街の中心、大湯の前にある4階建ての建物。

もともとは旅館でしたが、6年前、飲食店などにリノベーションされました。

以前はスキー用具などが置かれていた地下の乾燥室はおしゃれなバーに。

外国人観光客でにぎわう店でいま人気なのが、地元のお酒を使ったカクテルです。

(客)「いいですね」

(バーテンダー)「とても人気があります」

そのベースとなっているのがメイド・イン・野沢温泉のジン。

12月オープンしたばかりの村内の蒸留所で作られています。

(フィリップ・リチャーズ社長)「このビルもともと缶詰工場でして、50年間くらい起動してた、これは高圧クッカー(調理機)みたいなもの、たぶん野菜を蒸気で処理してた機械、再利用していまバーカウンターになっています」

オーストラリア人のフィリップ社長が、使わなくなった建物を改装し、新たに醸造の設備を導入。

工場自体は2022年10月から稼働を始めました。


「私はもともとは東京でサラリーマンしてたんです」

野沢温泉で店を開いた理由、そして地域の魅力アップも目指した今後の計画とは?

野沢温泉村に先月(15日)オープンした野沢温泉蒸留所。

社長でオーストラリア出身のフィリップ・リチャーズさんは、東京でおよそ20年間、銀行員をしていました。

「1998年、ちょうどオリンピックが終わったころ初めて野沢に友達とスキーに来ました、最初軽い感じで来たんだけどすごい好きになってて、人生が変わってしまいました」

15年ほど前に別荘を購入し、その後、脱サラして移住。

もともとお酒好きだったこともあり、日本の飲料メーカーで働いていた高校時代の先輩や若手の醸造家などと一緒に、蒸留所を立ち上げました。


「野沢温泉の水がおいしいからこれは間違いなくおいしいお酒がつくれるなと思いました」

完成したのは3種類のジン。

ラベルにはスキー場や道祖神もあしらわれています。

中には地元の森で採れたハーブやスパイスも入っていて、それぞれ違った味が楽しめます。

この施設のほか村の酒店などでも販売していて、値段はやや高めですが、売れ行きは好調。

村内のバーでは、信州のリンゴを使ったカクテルを提供するなど、ご当地商品として売り出しています。

(バーテンダー・ロビー・マッキンタイアさん)「このジンは味もいいし、地元の香辛料が入っているのでとても面白い、野沢温泉の他のバーにも広がるだろうし、できれば全部のバーで扱って欲しいし、村外にも、日本全国にも広がってほしいですね」

広がる需要は新たな雇用にもつながっています。

「いま瓶詰やってます、製造の方は3人で、8人くらいいますかね、たぶん近い将来には15人から20人くらいを通年採用する予定です」


さらに今月から取り組むのが、「世界レベル」が目標というウイスキーの醸造。

お酒も村の魅力の一つにして、見学を含めた観光にもつなげたい考えです。

「冬はスキーで素晴らしい温泉もいっぱいあるんですけど、もう一つ野沢を訪ねる理由を作ろうと思っています」

将来を見据えた仕込みはまだ始まったばかり…。5年先、10年先の夢が広がっています。