温泉大国、日本がピンチです。長野で人気の温泉施設が休館に追い込まれてしまいました。理由は「お湯の量の不足」。実は今、各地で異変が起きています。
■湯量激減で温泉施設が休館

山内あゆキャスター:
各地の温泉でお湯の量が減ったり、温度が下がったりしています。
取材をしたのは、長野県千曲市にある市営の日帰り温泉「佐野川温泉 竹林の湯」です。温泉施設なのに、料金が大人350円、65歳以上・市民は180円と大変お手頃な価格でした。新型コロナ前は、1日300人以上が訪れる大人気の施設でした。
「竹林の湯」の源泉の様子を見ていくと、2004年の採掘当初は、毎分55リットルも湧き出ていました。それが15年経った2019年、湧いて出る量が半分以下になりました。さらに2022年11月にはもっと減少。ついに、2022年12月25日をもって臨時休館するに至ってしまったのです。
千曲市生活安全課の中山秀一係長は「原因の解明について、はっきりとしたことがわからない」と話していました。
調査自体は進めていますが、再開のめどは立っていないということです。
ホラン千秋キャスター:
温泉は掘り当てたとしても、どのくらいお湯の量があるのかとかは、その時点では分からないものなのですか?
山内キャスター:
全体量についてはどのくらいかわからないかもしれませんが、いろいろな調査が今最新のものがあるので、ある程度の湯量は把握できると思います。しかし、原因ははっきりわからない、再開の目処も立っていないということです。
■湯量激減&温度低下で…
他の地域でもこうしたことが起きているということで、3コマで見ていきましょう。
続いては、白濁した硫黄温泉で人気の青森県「嶽温泉」です。津軽地方にあります。

「嶽温泉」にはエピソードがあります。約350年前に傷ついたキツネがここで湯あみをしていたのです。ここから津軽地方の湯治場として、人気になったということです。
12月28日です。小さな温泉郷ですが、営業していた6軒の温泉でお湯の量は5分の1、温度は、元々80度以上ありましたが、約50度にまで下がってしまいました。
嶽温泉旅館組合の小嶋康平代表は「夏ぐらいから調子が良くない感じはしていた。浴用として耐えられない状態になってしまったので、全ての旅館がお客さんの受け入れを停止することにした」と話しています。
タイミングが本当に残念だったのです。どういうことかといいますと、1月10日から全国旅行支援が再開されましたよね。嶽温泉でも3軒の旅館が参加する予定だったのですが、お湯が少ないということでお客さんの受け入れをやめました。
さらにです。原因について何らか調べたいですよね。嶽温泉の源泉は数キロ先の山の中にあるそうです。3mの雪が道にあって、今、除雪作業中で、源泉にまだたどり着けていないということです。
嶽温泉旅館組合の小嶋康平代表は「早くお客さんを迎えるため、除雪を急いでいるが、まだ2〜3日はかかる。たどり着けたとしても、原因もわからないかもしれない」と不安を募らせています。
ホラン千秋キャスター:
自然界のことなのでもちろん全部が究明できるわけではないのだと思いますが、成田さん、温泉という広い目で見ると冷泉もあるので、それを温めて使っている温泉施設もあると思います。それを考えると、温度が低いこと自体はありうるんだと思うんですけど、下がっていく、それから湯量も減っていくのも少し不思議ですよね。
米イェール大学助教授 経済学者 成田悠輔さん:
温暖とかいろんな複雑な環境と絡み合ってるんだろうなと思うんですよね。温泉というと、どうしても水道みたいにひねれば出てくるものというイメージをしがちじゃないですか。実際は、石油みたいな資源なんだと思うんですよね。なので、石油についてどれくらい掘れば持続可能かを考えるのと同じような感じで、温泉もどれくらい使っていくのか、長い目で見たときにみんながハッピーになれるやり方なのかを調べた方がいいのかもしれないですね。
ホランキャスター:
なくなりうることを考えると、事業者の皆さんも家計な部分がありますよね。
山内キャスター:
今まで湧いて出るものだと思っていたお湯が、どうも有限なものらしいということが徐々にわかってくるのです。