きょう、6月20日は「世界難民の日」です。紛争地から遠く離れた日本では、難民問題を身近に感じる機会は多くありません。都内の高校で映画を観て難民について考える「特別授業」が行われました。

「トルコとの国境に近いところです、激戦地のひとつです」

都立高校で行われたのは、難民についての「特別授業」。取り上げられたのは、2011年に始まったシリア内戦。当時のアサド政権と反体制派による衝突は10年以上に及び、1000万人以上がいまも国内外での避難生活を余儀なくされています。

ここで起きた実話をもとに制作されたのが、映画『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』。戦禍を生きる人々の選択と葛藤を、医師や兵士など、異なる5人の視点から描いた作品です。

この日は、映画の上映会が行われました。遠く離れた国で起きた現実の重さを目の当たりにした生徒たち。上映後には自然と会話が生まれます。

「子どもたちとか大人が並べられて、銃で殺されるところから(兵士が)もう戸惑い始めてたから」
「何を感じれば良かった?もはやわかんない」

映画を観て感じたことを悩みながらも書き留めていきます。

「特別授業」2日目。生徒たちが疑問点を持ち寄り、意見を交わします。主人公の一人、病弱な息子とアメリカへ渡るため難民を利用して荒稼ぎする密航業者。善悪では割り切れない実状に、生徒たちは…

「あの環境の中だと、息子との理想の生活のためには仕方ないことで、そういう手段を取らざるを得なかった、いわば彼も紛争の被害者の1人として考えて」
「やっぱみんな被害者だと思うから」

議論の中心となったのは、「映画のタイトル」です。ストレンジャーとは誰なのか。なぜ、過去を示す『ワズ』が使われているのか…

「同じ映画を観て戦争っていうのを共有してる時点で、もう当事者になった。戦争にとって見知らぬ人じゃなくなった」

授業を終え、世界を広げた生徒たちは、「見知らぬ誰かを想う力」を培ったようです。

高校1年生 村中康太さん
「何百人何千人の難民がいるという認識だったんですけど、1人の難民が沢山いるっていう意識に変わりました」

高校3年生 松本彩花さん
「世界に必要なのは、武力じゃなくて対話だよっていうのを映画を観て改めて認識しましたし、ずっと訴えて考え続けていきたいなって思いました」

作品を手がけた監督は、こうした若い世代を「物事を変える可能性を持つ最大の希望」だと語ります。

『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』 ブラント・アンダーセン監督
「心の奥底で何かを感じ、それが行動へと繋がることを願います。若者たちに声を上げ、助け、行動を起こしてほしいのです」

難民をめぐり生まれた問いは、彼らが教室を出たあとも続いていきます。