研究の背景――オスが守る卵、しかしメスの「選択」は未解明だった
タガメは、メスが水面上に突き出た植物や棒などに卵塊を産卵し、その後オスが卵に給水しながらアリなどの天敵から保護する繁殖生態を持ちます。オスによる保護がない卵は、乾燥やアリの捕食によって孵化に至りませんでした。
そのため、メスはあらかじめ孵化成功率の高い場所を好んで産卵している——すなわち「産卵場所選好性」を持つ——可能性が考えられていました。しかし、タガメ亜科においてその実態はこれまで未解明でした。
現在、タガメは環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類および特定第二種国内希少野生動植物種に指定されており、本種の繁殖生態を解明することは、具体的な保全策を講じるうえで極めて重要な知見となります。
こうした背景から、研究グループは生息地での野外調査と室内実験を組み合わせ、タガメの産卵場所選好性の解明に取り組みました。














