広大な北海道のどこに住んでも適切な医療につながれるよう、「医師の派遣」の新しいあり方が、いま模索されています。

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旭川医大 内科学講座 藤谷幹浩 教授
「(Q.きょうはどちらまで?)枝幸町の国保病院まで向かいます」

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旭川医科大学の藤谷幹浩教授です。専門は消化器内科。
この日は、約170キロ離れたオホーツクの枝幸町まで、1泊2日で出張し、患者を診察します。

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旭川医大 内科学講座 藤谷幹浩 教授
「(Q.移動中の車内では?)朝食をこれから食べますけど、あとは休んでいたり、書類の整理を…」

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タクシーで、片道3時間。都市部の大病院から、地方への出張診療は、これまで当たり前に行われてきました。そんな中…

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旭川医大 地域共生医育センター長 牧野雄一 教授
「中継の基幹病院からさらにリレー式で遠隔地の病院に(医師を派遣)」

医師の「リレー」で、地方でも持続可能な医療へ。”もうひとホリ”します!

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枝幸町などのオホーツク地方は患者に対する医師の人数が少なく、全国でも最低水準です。旭川医大の消化器内科では、週に1回程度、専門医を枝幸町に派遣しています。

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医師によっては、派遣が2週に1回ほどまわってくることもあり、体力的にも大きな負担です。

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旭川医大 内科学講座 藤谷幹浩 教授
「雪道で時間が余計にかかったり、通行止めになったりするので、診療に支障がでることはある」

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そこで、6月から、旭川医大が中心となって始めたのが、医師の『リレー式支援』です。

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従来は、旭川から枝幸町に、直接、医師を派遣していました。
『リレー式支援』では、旭川から枝幸町までの中間地点で、地域の中核病院でもある、名寄市立総合病院に、旭川医大から医師を派遣します。

そして、枝幸町へは、名寄の病院から医師を派遣する仕組みです。
こうすることで、診療を必要とするマチまで、医師が日帰りで行くことが可能になり、交通費や宿泊費の削減にもつながります。

まずは、消化器内科から始まった「リレー式支援」。
患者だけでなく、若手の医師にもメリットがあると、藤谷教授は話します。

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旭川医大 内科学講座 藤谷幹浩 教授
「(名寄市立総合病院は)多くの最新の医療機器がそろっている。指導体制も整っている。医師としてのキャリアを保ちながら地域に貢献できるメリットがある」

ではなぜ、これまでこうした仕組みがなかったのでしょうか?
その背景のひとつが「医局」の存在です。

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旭川医大 地域共生医育センター長 牧野雄一 教授
「古くから医師の派遣は所属する医局が差配していた。医局を構成する人数も少しずつ減ってきて、医師のライフスタイルが変わってきたこともあって、従来どおりの派遣が、どこの医局もうまくいかなくなってきた。別な派遣母体・派遣根拠を作ることが求められている」

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旭川医大は、2025年3月、複数の内科や行政・近隣の医療機関による会議体を立ち上げました。「医局の垣根」を越えた医師派遣の検討を進めています。

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さらに、患者の住む地域から、専門医のいる病院までの通院時間をシミュレーションして、より効率の高い医師派遣を進めようとしています。

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旭川医大 地域共生医育センター長 牧野雄一 教授
「本当の意味での医療ニーズを掘り起こしたいというのが、私どもの基本的な考えです」

堀啓知キャスター:
医師の派遣コストが抑えられ、冬場も安定して専門的な医療を受けられるようになるということで、非常に期待は高いですね、田村さん。

ハンバーガーボーイズ 田村次郎さん:
そうですね。一番大きいのは、やはり医師への負担軽減だと思います。どうしても冬道などの移動は事故のリスクもあり、命の危険が伴います。それでお医者さんがいわゆる「へき地医療」に行けないとなると、今度は患者さんの不安が大きく高まってしまうと思います。患者さんもお医者さんと会って実際にお話ししてもらうことで、不安が解消されたり、それによって健康に繋がっていくこともあると思います。 ですから、お医者さんをいかにきちんと派遣できるかが非常に重要だと思います。距離をシェアすることで、安心な移動に繋がっていけば、患者さんの不安も減っていくのではないかと思います。

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堀キャスター:
お医者さんの負担は相当減りそうですよね。直接行くとなると170キロもありますからね。となると、今度は拠点となる病院がどう受け止めているのかが気になります。拠点となる名寄市立総合病院の眞岸克明病院長は「大学からの専門医派遣としては理想的な方法」としながらも、「いわゆる”へき地”で求められるのは、『総合診療医』のほうがニーズが高い」としています。また、「今後は医療機関へのアクセスをどうするかの議論が重要だと感じます」とコメントしています。
今回は消化器内科の専門医によるリレー式支援として始まっていますが、患者さんを総合的に診られる医師も同時に育てていかなければならないということですよね。

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糸賀舜キャスター:
そうなんです。旭川医大では現在、「マルチタスク型地域医療医」の育成に力を入れています。この「マルチタスク型地域医療医」というのは旭川医大での造語ですが、どのようなお医者さんかというと、
●救急災害型
●病院総合診療
●家庭・在宅医療型
●離島・へき地型
例えば、離島で夜間にその場で医療を完結しなければならない状況など、この4つのタスクに対応できる、”マルチな診療医”のことを指します。旭川医大の牧野教授らは、北海道の医療ニーズのシミュレーションを行うとともに、「マルチタスク型地域医療医」の育成に取り組み始めています。この取り組みについて、満島さんはいかがでしょうか。

満島てる子さん:
そうですね、医療ニーズのシミュレーションは本当に大事なのではないかと思います。北海道という土地の地方医療となると、どうしても介護を兼ねた高齢者を対象としたものがイメージとして先行しますし、そこ自体は田村さんがおっしゃったように、安心感を作っていく上でお医者さんがいて話せることは大切だと思います。 ただ、北海道は今、各地域が自然資源や食文化をアピールして、インバウンドのお客さんを見込んだ観光活性化が考えられていたりします。そうした地方創生と結びついた形で、この北の大地に働きに来て、地域に定住して子どもを産みたい、あるいは育てたいという若者たちも、想定されにくいという意味でマイノリティではあると思いますが、絶対に一定数いるはずなんです。そうした外国人向けの情報保障だったり、産院や子育て支援の意味での医療的なサポートは見逃してはいけないですし、これからの北海道の下支えになってくるのではないかと思います。マルチタスク型の「マルチ」本当に幅広いと思いますが、広い意味での人材育成に繋がってほしいですね。

堀キャスター:
なるべく網の目を小さくするように取り組んでいるということですよね。

糸賀キャスター:
そうですね。やはり北海道内の広大な土地の中で、お医者さんを拠点としてどう派遣していくか、ここが非常に難しいところだというのは取材を通して感じています。

堀キャスター:
北海道はどこよりも広く、厳しい冬の環境があるので、お医者さんの偏りや医療格差をなくすことは、47都道府県で一番難しいレベルだと思います。だからこそ、こうした前例のない新しい取り組みはやりがいがありますし、うまくいくと全国のモデルケースになる可能性があります。現場の皆さんは大変だと思いますが、ぜひ地方に住み続けたいと思えるような医療ネットワークを構築してほしいと思います。