投稿者の特定 法制度上の高いハードル
投稿者たちに誹謗中傷をやめさせることの難しさ。丸尾県議はそもそも投稿者を特定する作業自体に、法制度上の高いハードルがあると訴える。
丸尾県議
「なかなか相手先の氏名住所までたどり着けない」

丸尾県議は100件を超える開示請求をしたが、その結果、氏名まで特定できたのは5人だけ。一体どういうことなのか。

発信者を特定するためには、一般的に裁判所に対し2段階の開示請求が必要とされる。
被害者はプラットフォームに対し、どのプロバイダが使われたか開示請求をする。丸尾県議の場合、ここまではかなりの数が開示されている。それが判明したら今度はプロバイダに発信者の住所や氏名などの開示を求める。
ところが、この2段階の開示請求の間にプロバイダの通信記録の保存期間が過ぎてしまい、特定できないケースが相次いでいるのだ。
例えば、2024年11月2日に投稿されたYouTube映像。

丸尾県議は2025年9月18日にYouTube側に開示請求をしたが、プロバイダが判明したのは2026年1月9日、約4か月後だった。
結局、このプロバイダからは通信記録の保存期間は93日、約3か月しかなく、すでに消去されていると回答があった。
丸尾県議
「やってみてこれだけ時間かかるというのがわかったという部分もありますけど。ただ入口でそれがわかってたら、最初からやはり責任を問うことを断念してた可能性がありますよね」
そもそも裁判所が「開示命令」を出しても、アメリカに本社を持つXなどのプラットフォームはすみやかに応じないケースもあるという。
その場合、強制的に開示命令に従わせる手続きを裁判所にとる必要があり、さらに時間がかかる。

丸尾県議
「それこそ被害者の立場で言うと、ずっと心理的な負担が続いてる状況ですよね。終わりのないものと闘って、結論がまだまだ見えないという不安感と、ちょっとストレスと様々な思いがありますね」
この1年半で開示請求にかかった弁護士費用は600万円にものぼる。もともと政治家への誹謗中傷は表現の自由との兼ね合いが議論になりやすい。
それでも費用と労力をかけて投稿者の特定を進めるのは何故なのか。
丸尾県議
「公職者だからもちろん一定の批判は当然許容しないといけない。ただそこに虚偽が含まれると、一般の人以上にその攻撃は厳しくなりますから。一つ一つきちんと責任を問うていくことが必要なんだろうな、それが再発防止に繋がるんだろうなという風に強く思ったのは間違いない」
SNSの誹謗中傷問題に取り組み、これまで1000件以上の開示請求を行ってきた清水陽平弁護士は、制度の問題点をこう指摘する。

清水陽平弁護士
「プロバイダの方に開示請求したけれども、『ログ(通信記録)の特定ができませんでした』と言われるケースも一定程度あるというのが現状です。対応が遅いがゆえに間に合わないというケースは、ほとんど外国の会社。平気で半年、1年後に開示してくる、それぐらい遅い」
村瀬キャスター
「被害者側からしたら、とても重要な時間ですよね」
清水弁護士
「そこが一番のネックになっているところかなと思います。国内の事業者だと、そこまでかかることはないんですよね。2~3週間、かかっても1か月以内には大体回答してくれるので、あまり問題になることはないと思うんですけど」
2021年の法改正によって手続きの一部が簡略化されたが、開示のハードルは依然高いままだと話す。
清水弁護士
「プラットフォーマー側の善意に頼っているような制度に現実的にはなっているという形なので、対応までの期間に制限をつけて、それに対して対応しなければ罰則なり過料なりというところまでやらないと、特に海外の事業者は対応しないんじゃないか。そういうところ、何かしら動かすためのサンクション(制裁)をつけるということは、重要なんじゃないかなというふうに思います」














