去年は防衛政策の大転換に終わり、今年は異次元の少子化対策に始まった岸田政権。支持率は下がり続けていたが、最新の世論調査では下げ止まりも伺える。
今年は、日銀総裁人事、統一地方選挙に3選挙区の補欠選、岸田総理がホストを務めるサミット、注目政策の財源確保など政治の1年となる。その行方を議論した。
■「甘利さんの発言は総スカン状態です」

去年“歴史的大転換”と称された防衛費の倍増。具体的には5年間で約17兆円を捻出しなければならない。とりあえずこの5年分は歳出削減、決算余剰金など搔き集めた上に3.4兆の増税で目途をつけたが、2028年以降の財源は全く見えていない。にもかかわらず、年頭、岸田総理は“異次元”という金融緩和で使われた言葉を持ち出して少子化対策の予算倍増を打ち上げた。具体的金額は提示していないが、前年度実績から倍増と試算すると約12兆円くらいだろう。そして、これも財源は決まっていない。法人税か所得税か、はたまた赤字国債か?・・・

そこに先週、甘利前幹事長が消費増税も含めた議論が必要と発言、波紋を呼んだ。消費増税については岸田総理が2021年の総裁選で「10年上げない」と明言しているのだが・・・

政治ジャーナリスト 田崎史郎氏
「甘利さんの発言については、僕も官邸、自民党、財務省を取材しましたが、総スカン状態です。“なんでこんな発言したんだ”“ホントにセンス悪いね、甘利さんは”っていう話ですよ。先週金曜に岸田総理は萩生田政調会長と二人で会談したが、そこでも“甘利さんは何であんな発言したんだ”と非常に戸惑っていたらしい。消費税まで上げるんだという悪いイメージをもたらしたことで非常に罪深い発言ですよ」
ということで消費増税は当面議論もされないというのが田崎氏の読みだ。少子化対策費倍増の財源として田崎氏は、保険制度の中でやると話す。つまり雇用保険、健康保険など労使折半で負担している制度を利用して徴収する方法だ。もう一つは児童手当の財源になっている事業主拠出金を増額する方法だ。法人税は赤字決算企業からは取れないが、これは赤字の中小企業も含め全ての事業者からまんべんなく取れる。どちらにしても企業と国民から少しずつ取るという点で結果的には増税だ。
経済評論家 加谷珪一氏
「たとえば雇用保険などは特別会計ですね。この一般会計とは別の所から財源を持ってくるというのはテクニカルには可能なんです。(中略)特別会計を使うと相当見えにくくなる。よくない言い方ですが少し時間稼ぎをしたり、議論を見えにくくしたりする効果はある。トータルで見れば意味のないことで、無いものは無いんですから最終的にはどこかから取らなきゃできない」
結局、財源は国債か増税かの2択しかない。もしも増税の場合、その前に国民に信を問う、つまり解散総選挙があるといわれている。














