テコンドー女子49キロ級で2021年東京五輪5位入賞の山田美諭(32、城北信用金庫)が引退会見を行った。山田はこれまでの現役生活を振り返り、「20年間テコンドーを続けてきたんですが、自分でもこんなに続けるとは本当に思っていなくて自分でも驚いています」と語った。

会見では、サプライズで2015年世界選手権で日本初の金メダルに輝き、東京五輪で共に戦った濱田真由氏が登場。花束を受け取った山田が、思わず涙を流す一幕もあった。

濱田真由氏から山田美諭へ花束を贈る


空手道場を運営する父の影響で3歳から空手を始め、中学1年時にテコンドーへ転向した山田は、テコンドーの名門・大東文化大進学後に国内外で頭角を現した。大学4年時にはリオ五輪最終選考会中に右膝靱帯を損傷する大けがを負ったが、約1年間のリハビリを経て復帰。2018年アジア大会で銅メダルを獲得し、2021年の東京五輪では5位入賞を果たした。

東京五輪後は1年間競技から離れたものの、パリ五輪を目指して現役を続行。2023年の世界選手権とアジア大会の代表に内定した。しかし、同年3月に左膝の前十字靭帯を断裂し内定を辞退。懸命のリハビリに励んだが、2度目の五輪出場は叶わなかった。その後も地元・愛知で開催されるアジア大会に向けて現役を続けたが、今年4月の代表選考合宿で岡本留佳(20、Hama House)に敗れ、代表入りを逃し現役引退を決意。山田は、これまでしのぎを削ってきた岡本に対して「(岡本選手は)引き出しの多さと対応力が彼女の強みかなと思います。私はアジア大会銅メダルだったので、金メダルを獲ってもらいたいです。全力で応援したい」とエールを送った。

現役を引退した山田美諭



また、競技人生で一番印象に残っている試合として“東京五輪の初戦で、台湾の蘇柏亜に勝利した試合”を挙げた。最終ラウンド残り40秒、渾身の胴蹴りで試合をひっくり返した執念の一戦を振り返り、山田は「東京五輪の1年前に練習試合で20対0でボコボコにされて負けていた相手。絶対出るだけで終わりたくない、勝ってやるという気持ちで必死に対策した 。初戦から決勝戦のつもりで臨んで勝てた試合なので、自分の中では印象に残っています」と口にした。

今後については「引退を決めてから1か月ほどなので、テコンドーのことはこれからゆっくり考えたい。今は城北信用金庫の職員として、今後はマネージャー業務をすることになりましたので、(所属するアスリート)6名の選手のサポートをして全力で応援したいなと思っています」と展望を明かした。
度重なる大けがを乗り越え、最後まで己の限界に挑み続けた山田。その不屈の闘志とテコンドー界に残した功績は、これからも色褪せることはない。