平均年齢50歳超えの「転職者集団」が大成功!?

全社員が「転職者」という、ある小さな出版社が今注目を浴びています。今年の本屋大賞2026にノミネートされた10作品のうち、2作品(「エピクロスの処方箋」と「ありか」)を手がけたという「水鈴社」です。
本屋大賞にノミネートされた当時は編集者が1人で、現在もスタッフはわずか10人という小さな会社が、なぜこうした偉業を成し遂げることができたのでしょうか。「転職」を考えるヒントにもなる水鈴社を取材してみました。
柿内芳文さんは、今年4月に水鈴社に転職したばかり。他の出版社の勤務経験を経て、8年ほどフリーランスとして働いていましたが、子どもが小学生になったのを機に働き方を変えました。
再び正社員として会社勤めを選んだ理由は、「本作りは一人ではできないから」。入社してから2か月ほどが経過し、満員電車に乗らなければいけないことが、一番大きな変化だと言いながらも、水鈴社での日々は刺激的だと話します。
柿内芳文さん(47):
水鈴社は作家と一緒に、一つずつの大切な作品を大事に作って、それを世にしっかり届けるっていうことをものすごく愚直にやっているなという印象があります。それぞれがものすごくプロフェッショナリズムが高いので、そこに対する刺激や尊敬が今、生まれてきていますね。
水鈴社を率いる篠原一朗さんもまた、転職経験者です。新卒で入社した会社を2年で退社、大企業の安定を捨て、出版社でアルバイトとして働き始めました。収入が減り、労働時間も長くなりましたが、覚悟を持って飛び込んだ出版業界で「好きなこと」に向き合う日々は幸せだったといいます。
篠原一朗社長(48):
朝から晩まで仕事で、本に関わることをやっていました。でもコピー一つ取るにしても、本に関わる仕事だったので、全然それが苦ではなくて楽しかったんですよね。転職を選んじゃったら、もうそれを正解にするしかないなって思っていました」
その後、もっと作品一冊一冊に向き合うため、自ら「水鈴社」を立ち上げました。すると、その熱意に共感し「自分の生き方」を求めて転職してくる40代、50代のスタッフが続々集まってきたのです。
2年前に水鈴社に転職・松谷文緒さん(57):
この先、元気に働ける残りの時間が見えてきて、何をやり残したら後悔をするだろうと考えたときに、一番初めに頭に浮かんだのが本を作る現場に戻りたいということだったんです。収入は少しダウンしました。ただもちろん、やりがいはアップしています。
本屋大賞2026にノミネートされた「ありか」の著者・瀬尾まいこさんに、あえてこの小さなプロ集団「水鈴社」とタッグを組んだ理由を聞いてみました。
作家・瀬尾まいこさん:
私の中では、私以上に作家である瀬尾まいこのことをすごく大事にしてくれて、それは篠原さんだけじゃなく水鈴社の方々が少数精鋭で皆さんの顔も見えますし、すごく大好きで大事な会社ですし、一緒にお仕事するとワクワクします。
ベストセラー作家もスタッフ一人一人に信頼を寄せる水鈴社は、社員それぞれがこれまでに培った「経験」という武器を持ち寄った“実力派集団”です。
ただそれだけでなく、「作品への思いや仕事へのやりがいを大切にできる職場」を求めた先にたどり着いた会社だからこそ、成功が実っているのかもしれません。
篠原一朗社長(48):
今いるメンバーは欠けてしまっては困る存在で、すごく色々な人に支えてもらっていたんだなというのがよくわかりました。営業のことも宣伝のことも、自分は何もわかっていなかったですし。
それぞれがそれぞれの仕事を長年にわたって働き続けてきたメンバーなので、そういう筋肉質な会社であり続けたいと思いますし、自分もその中の一人でいたいなとは思っています。
(ひるおび 2026年5月26日放送をもとに作成)














