12年前、東京女子医大病院で鎮静剤を投与された当時2歳の男の子が死亡した医療事故をめぐり、業務上過失致死の罪に問われた麻酔科医の男2人の裁判で、東京地裁は、元研修医を無罪判決とした一方、麻酔科医には執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

この裁判は、2014年、東京女子医大病院で首の腫瘍の手術を受けた当時2歳の男の子が、鎮静剤「プロポフォール」を長時間にわたって投与され、その後、死亡した医療事故をめぐり、麻酔科医の小谷透被告(66)と福田聡史被告(44)が業務上過失致死の罪に問われたものです。

検察側は「致死的な副作用の兆候を示す容態の変化があっても、著しい高用量の投与を漫然と続けた」と指摘し、小谷被告に禁錮1年6か月、福田被告に禁錮1年をそれぞれ求刑していて、弁護側は「投与と死亡の因果関係はない」として無罪を主張していました。

東京地裁はきょう(29日)午後1時半から行われた判決で、小谷被告に禁錮1年6か月、執行猶予3年の有罪判決、福田被告に無罪を言い渡しました。

東京地裁は、男の子の死因を鎮静剤の過剰投与による副作用だと認定。そのうえで、小谷被告については「専門医であれば、到底行わないような量で長時間の投与を続けていて、注意義務違反の程度は非常に大きい」として過失を認めましたが、福田被告については、当時、研修医という立場であり、「副作用が発症し、男の子が死亡することを具体的に予見できたというには合理的な疑いが残る」とし、過失を認めませんでした。

判決後、男の子の母親が代理人を通じてコメントを出し、1人に無罪を言い渡した判決について、「このような判決を息子に報告はできません。とても悲しい気持ちでいっぱいです」と胸の内を明らかにしました。

一方、被告の弁護団は都内で開いた記者会見で、有罪判決を受けた小谷被告については東京高裁に控訴する方針を明らかにしました。

東京女子医大もコメントを発表し、「本院の医療事故により尊い命が失われた事実、そして今日までのご家族の苦しみに対し、法人が負うべき責任を今後も決して忘れることはない。実効性のある医療安全改革を断行することをお約束する」としました。

両親はこの刑事事件とは別に、小谷被告など麻酔科医らに賠償を求める訴えを起こしていて、過失を認めて賠償責任があるとした東京地裁判決が確定しています。