先達の不断の努力で得た「当たり前」のようでも重要な制度
このように、何気ない、いまとなっては当たり前のような規定こそが、ジャーナリズム活動を支える重要な制度であって、しかもそれは先達の不断の努力の結果であることを知ることで、その大切さを実感できるのではないだろうか。冒頭に記した憲法の「言論の自由」の護り手であるとともに担い手であるのが、ジャーナリスト(ジャーナリズム活動)であることにいま一度思いを致してほしい。
そしてもし、その制度を壊すような動きがあればいち早くカナリア役を務め社会に注意喚起するとともに、実際に自由を守るための具体的な行動をすることが必要だ。また同時に、そうした自由を最大限活用し、少数者の声や隠されている事実を社会に届けることをし続けなくては、自由がただの飾り物としてどんどん干からびていくことだろう。
そしてもう1つ大切なのは、2000年当時はまだぎりぎり、報道界の自由を希求する声に市民社会が呼応して、一緒になって取材・報道を制限する法案に対して反対をしてくれたことである。残念ながらもしいま同じような法案が提出されたら、簡単に成立するかもしれないし、一方で除外規定を設ける話には市民の側から特別扱いすることへの反発が生まれるかもしれない。
まさに、リスペクトをしてもらうためのジャーナリストの側の努力も必要ということに他ならない。それは“魔法の杖”の「使い方」の問題である。次回はこうした市民に対する説明がどういう場合に必要なのかも含め、引き続き杖の話を続ける。
<執筆者略歴>
山田 健太(やまだ・けんた)
専修大学ジャーナリズム学科/大学院ジャーナリズム学専攻教授。
専門は言論法、ジャーナリズム学。
自由人権協会代表理事、日本ペンクラブ副会長。放送批評懇談会、情報公開クリアリングハウスなどの各理事を務める。BPO人権委員会など歴任。
主な著書に、『法とジャーナリズム 第4版』(勁草書房)、『ジャーナリズムの倫理』(いずれも勁草書房)、『沖縄報道~日本のジャーナリズムの現在』(ちくま新書)、『転がる石のように~揺らぐジャーナリズムと軋む表現の自由』(田畑書店)ほか多数。
専修大学で一般公開の「表現の自由研究会」を開催中。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














