今年初めてとなる和牛のセリが、福島県本宮市で行われました。

和牛の平均価格は大きく下落し、その背景には、ウクライナ情勢などによるエサ代の高騰がありました。

水津邦治アナウンサー「和牛の初セリが始まりました。肥育農家が多く訪れて、次々と子牛が落札されていきます」

本宮市で行われた和牛の初セリ。

県内外の肥育農家などおよそ150人が参加し、県内で生まれた黒毛和牛の子牛およそ350頭がセリにかけられました。

1頭あたりの平均価格はおよそ68万円。
去年に比べると4万円下がり、ここ数年の高値傾向から一転、下落となりました。

その大きな要因が「飼料価格の高騰」です。

鏡石町の肥育農家・佐藤幸一郎さん「(エサ代は)過去に例がないぐらい1年間の値上がりが大きくて、採算性が合わない状態です」

肉牛を育てる肥育農家の佐藤幸一郎さんは、エサを海外から輸入していますが、ウクライナ情勢などによりエサ代が高騰し経営を圧迫。

費用を抑えるため、子牛を安く購入しなければならず、その結果、価格の下落につながっているといいます。

佐藤さんは、採算をとるため、飼育する牛の数を半数以下に減らすなどの対応を強いられています。

佐藤さん「購買者の数も今までより少ない。大体満席になるが買う人が少ない」

一方、繁殖農家もエサ代の高騰に頭を悩ませています。

いわき市の繁殖農家・斎藤栄一さん「子牛の時点では結構配合飼料を食べさせるんですよね。経営的にも本当に厳しくなってきています。様々な施策を講じていただかないと、本当に廃業する農家が続出するのではないかという危惧があります」

物価高の高騰は、一次産業を支える農家にも影を落としています。

コロナ禍による肉牛の需要の減少は多少改善されたとはいえ、円安と飼料価格の高騰は畜産農家には痛手になっているといえそうです。