去年9月、サイバー攻撃で甚大な被害を受けたのが、アサヒグループホールディングスです。当時、何が起きていたのか?サイバー攻撃の実態を関係者の証言から追いました。

サイバー攻撃でアサヒの“物流網”が停止 何が起きていたのか?

2025年9月、サイバー攻撃を受け市場から消えたアサヒの商品。想定外の事態、その原因は、サイバー攻撃によるシステム障害の発生でした。

ビールシェアNo.1。看板商品の「スーパードライ」まで影響し、売り上げが約4%ダウン。決算発表も延期に追い込まれました。

アサヒビール 松山一雄社長
「最初の1日は相当パニックになっていた」

あの時、何が起きていたのか?当事者たちの証言と独自映像から、サイバー攻撃による被害の実態に迫りました。

アサヒの“心臓部”、東京ドーム9個分の広大なビール工場。製造計画の責任者である出原さんが、朝出社して異変に気づきました。

生産部門 出原隆司さん
「とにかくいろんなシステムを立ち上げても、エラーが出るとか、通常通り立ち上がらない。なにかいつもと違うことが起きたんだなと…」

その後、本社からの報告で、サイバー攻撃を受けたことが判明。工場の製造設備そのものは無事でしたが、2日間の生産停止。

出原隆司さん
「製造自体がストップするというちょっと異例の事態が起きた。作りたいのに作れない」

なぜ生産停止に追い込まれたのか?狙われたのは、アサヒの巨大物流網を支えるシステムでした。

そのシステムを熟知する物流部門の責任者だった筑紫さん。

物流部門責任者(当時)筑紫浩二理事
「基本的には、注文を聞いて届けるという部分が、全部一連のシステムの中で全てが動いていく話なんですけども、それが全部できませんので…」

通常、アサヒの取引先である卸が、必要なビールの種類や数量を入力し、データとして預けます。そのデータをアサヒが受け取り、工場などに出荷を指示。卸に商品が届くまで、全て自動で完了します。

このシステムを狙ったのが、2022年に活動を始めたとみられるロシア系ハッカー集団「Qilin」。

アサヒは、大切な発注データを受け取れなくなったのです。

筑紫浩二理事
「何といってもスーパードライが、我々の中の本当に一番のメイン商品で、もうこれが店頭から消えるなんてことは、あり得ない」