ホッキョクグマの「頭数減少」と「簡単ではない繁殖」が背景に

 イッちゃんが引っ越す背景には、全国の動物園が抱える“繁殖”の問題があります。ホッキョクグマは世界的にも頭数が減っていて、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでも「絶滅の危険が増大している種」に位置づけられています。

 (天王寺動物園 向井猛園長)
 「(Qホッキョクグマの展示の状況は?)かなり難しい状況だと思います。各国の国内法でかなり厳しく制限されたりしていますので、海外からホッキョクグマを移動させるというのはかなり難しい状況です」

 さらに繁殖自体も簡単ではないといいます。

 (天王寺動物園 向井猛園長)
 「繁殖は元々、暗闇と静寂が必要だというふうに言われていて、オスとメスの相性も必要ですので。繁殖ができている場所は限られた場所になってしまっているんですよね」

 こうした状況から全国の動物園などで構成される日本動物園水族館協会ではホッキョクグマの繁殖計画を立てています。横浜市の動物園では今、イッちゃんと繁殖が成功したゴーゴが暮らしています。そして娘のホウちゃんも野生のホッキョクグマだと親離れする時期に。そこで繁殖のためにイッちゃんが横浜に引っ越すことになったのです。

 (天王寺動物園 向井猛園長)
 「こういう形で個体数が増えることは大変重要なことだと思います。イッちゃんについてはゴーゴのもとに行きますので今後の繁殖を期待したい」