3種の転写因子でグリア細胞を神経細胞へ
この研究では、脳の微小な梗塞を再現した血管性認知症のモデルマウスを用い、脳内のサポート役であるアストロサイト(グリア細胞)を神経細胞へ直接作り変える遺伝子治療の効果を検証しました。
具体的には、神経への分化を促す3種類の転写因子(Ascl1、NeuroD1、Sox2:略記 ANS)を届けるウイルスベクター(細胞内に目的の遺伝子を運ぶための「運び屋(ベクター)」としてウイルスを利用する技術)をマウスに投与しました。
その結果、ANS を導入したグループでは、記憶に関わる脳の「海馬」における炎症反応が顕著に抑えられました。
また、別の治療群と比較して、ANS 導入群では記憶形成に不可欠な海馬の「CA1」と呼ばれる領域が維持され、深刻な構造的ダメージを防ぐことが確認されました。
さらに、この CA1 領域において、アストロサイトから新たに作られたと思われる神経系細胞が確認され、認知機能の改善傾向も見られました。
これにより、ANS を用いた遺伝子治療が神経の再生と脳の保護に有効であることが示されました。














