他者と対話し、それぞれの人生を知る図書館、「ヒューマンライブラリー」。「幼少期からのコンプレックスを励ましにつなげたい」と“本”として活動する女性を取材しました。
麗澤大学 山下美樹 教授
「きょう“本”になってくださる方、立ってくれますか」
千葉県の大学でこの日行われていたのは、“人を貸し出す図書館”ヒューマンライブラリー。“本”に見立てた話し手と聞き手である“読者”が対話し、多様な考えへの理解を深めることを目的としています。
日本とガーナにルーツ
「友達が私の前で『やっぱり美白とかいいよね』みたいな。なんて言えばいいかわからないし」
2000年にデンマークで始まり、これまで世界90か国以上で行われてきました。
東京都内で暮らす生駒有紀さん(35)。ヒューマンライブラリーに“本”として参加を続けているひとりです。
生駒有紀さん
「このあたりは生まれてからすぐなので目が見えていて、でも、半年くらいしてがんがわかって」
有紀さんは小児がんで右目の視力を失い、義眼を入れて生活しています。
生駒有紀さん
「小学校の低学年くらいになったら『見られてるの私だけ』みたいな、そういう感覚はあったんですよね」
自分の目を『コンプレックス』だと捉えていた有紀さん。考え方が変わったきっかけは小学生のころ、親の転勤でアメリカで暮らしたことでした。
生駒有紀さん
「アメリカの人に『右目どうしたの』ってすごいストレートに聞かれて『びっくり』って感じだったんですけど、人種も宗教も肌の色もバラバラだから、多分みんな『何でなんだろう』って思って、それが解決したらもう本当に気にしない。それ(違うこと)が当たり前の環境もあるんだなって思えた」
自分の過去をさらけ出し、気づきや励ましにつなげたい。そんな想いから、有紀さんは“読者”との対話を続けています。
生駒有紀さん
「一人一人何らかの人と違うところとかに、マイノリティ性っていうのを絶対抱えてて、私はずっとそれ(外見)がコンプレックスで嫌だったし、本当に絶望したし、ちょっと外歩くのも嫌だって思ったこともあったけど、でも今にして、ちょっと見方を変えればそうじゃない側面があるって気づけた」
読者
「コンプレックスって誰でも持ってて、ポジティブに受け取れる、そういうふうに前向きに進むときと、時々ネガティブになるときがあると思うんですけど、そういうことってありますか」
生駒有紀さん
「昔は克服するってことに結構重要性を感じていたんですけど、最近は完全に克服しなくても、(気持ちが)上下してもいいかなって思っています」
有紀さんが丁寧に紡いだ言葉は“読者”に確かに届いていました。
読者
「有紀さんからは『捉え直し』って言葉があって、私たち一人一人も何かしら捉え直したいこと、転換したいことがある存在かもしれないし、誰かの『捉え直し』のお手伝いをできる存在であるかもしれないんだなって」
普段聞けない他者の人生の話を聞く場所。有紀さんはヒューマンライブラリーについてそう表現し、気軽に足を運んでほしいと話します。
生駒有紀さん
「ヒューマンライブラリーって、外から見たら『何?』とか、多様性理解っていう単語とかが先行しちゃって、『自分がその場に行っていいんだろうか』と思うところがあるかもしれないけど、普段友達とは話さないような、自分の後ろめたいところ、コンプレックス、弱み、傷跡とかについてお話をしてくれる人がいる。多様性理解に寛容でないといけないとか、かしこまらずにふらっと足を運び、人の話を聞く場だと思ってほしい」
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