年末年始に何度もミサイルを発射し「核の先制攻撃」を示唆して緊張の度合いを高める北朝鮮の金正恩総書記。一連の言動について、龍谷大学の李相哲教授は「米韓の合同訓練で金総書記の捕獲を想定した訓練についての対抗策では」と分析します。
―――去年12月末の朝鮮労働党の総会で金総書記は「韓国が明白な敵であること」「核弾頭を急激に増やすこと」「戦術核兵器の大量生産の重要性」などを強調しました。また核戦力保有の目的について 戦争の抑止が第1の任務であるとし、第2の任務は防御にとどまらないとして核先制攻撃とも取れる発言をしています。
金正恩総書記が今、不安に駆られているという証拠だと思います。昨年暮れに韓国とアメリカが合同訓練を行って、ちょっと太った男性を捕獲するような訓練写真を公開したことがあるんです。それに対抗する措置として我々の能力をみくびるなと、そのようなことを言ったのだと思います。
―――それは、金正恩氏を想定した訓練ではないかということですか。
間違いないと思います。体型も似ていますし、発表したのも金総書記が立て続けにミサイルを発射した時期で、わざと捕獲して連行するような写真を公開しています。「斬首作戦」というのは昔から言われてまして、それは技術的にそんなに難しくないのですが、捕獲はかなりの難易度があるというふうに思います。今までビンラディン氏を射殺したり、その後継者を射殺したときは、「忍者ミサイル」というものを持っていて、4人が一緒にベランダにいても標的1人だけ殺せるような武器もアメリカは持ってるんですね。

―――北朝鮮が核攻撃をほのめかしていることについては。
北朝鮮は昨年9月8日に最高人民会議で「こんな場合には我々は核を使います」と言って法制化したんですが、その中で注目すべきは、「我が指導部、つまり金正恩氏を攻撃しようとするとか、その兆候が見られた場合は、我々は核を使う」と。ですからこれは我々の指導者を斬首するとか、捕獲しようとはするな、という警告でもあるんですね。
―――この北朝鮮の核が日本に向けられる可能性は「十分ある」ということですか。
朝鮮半島で有事が起きた場合は、やっぱり日本は後方基地になるんです。朝鮮戦争に参加した16カ国の連合軍、その後方司令部と基地が日本に残ってるんですね。戦争が起きた場合は、そこから外国の応援部隊が行きますので、やっぱりそこを破壊する必要があるので、核は十分考えられるシナリオです。朝鮮で何か起きた場合は日本がやっぱり被害をこうむりやすい立場にいると見た方がいいですね。
―――ちなみに1950年の朝鮮戦争のときの国連軍の後方基地は、今も日本に7ヶ所残っていて、例えば沖縄や長崎、東京や神奈川などにあります。2023年のミサイル発射はどうなりそうですか。














