【法医学者が解説②】2種類のDNA鑑定
Q:歯というのは残りやすい。部分ではあるんでしょう。
人体の中で一番頑丈な組織って、実は歯なんです。構造的にも非常に熱や化学物質に強い部位なので、歯は意外と残ります。
ただ歯の土台になる下顎骨という骨があるのですが、土台である下顎骨が崩れてしまうと、歯もバラバラになり、歯科所見だけでの身元特定は難しくなってくると思います。
Q:焼却炉から妻の遺体の一部が発見されました。どういうことが推察されますか?
焼却炉の温度がどれぐらいなのかにもよりますし、実際にどれぐらいの時間をかけて燃やしたのかにもよってくると思います。
一般の火葬で行われる焼却炉は、温度が800℃から1200℃ぐらいのはずです。骨は残しておきたいので、1時間から1時間半ぐらい燃やして、その後は冷まして骨を残すというのが一般的なんです。それでも骨の状態になると、結構バラバラになったり、骨も白い炭みたいになったり、形も残ってないようなこともあるので、形態的な身元特定というのはちょっと難しいかなとは思います。下手すると男女もわからないです。
「核DNA」によるDNA鑑定も難しいです。
それに対して「ミトコンドリアDNA」というものがあります。「ミトコンドリアDNA」というのは、一つの細胞にたくさんの数が入っていて、比較的抽出し易いのですが、弱点があって、母方の遺伝しか受け継いでいないんです。
つまり、DNA鑑定するときに対象となるのが、母方の血筋の方じゃないと照合ができません。ただ、焼死体であるとか、腐乱死体であるとか、遺体が傷んだ状態でも「ミトコンドリアDNA」だったら採取しやすいということは知られています。
今回、身元が特定できたとなると、可能性としてまず一つは、それほど焼損が進んでいない、焼けたことによって遺体が崩れていないということが一つ。あとは、もしかしたら「核DNA」が採取できたのかなということが一つ。それと「ミトコンドリアDNA」でDNA鑑定を行ったのかなということです。
さらに、意外と頭蓋骨は残っている可能性があるので、もしかしたら歯科所見がとれたのかなというところが考えられます。歯科所見がとれれば、意外と早い段階で身元の特定ができるかと思います。














