◆「施術ではなくケア」アートメイクで乳がん患者の役に立ちたい
西村さんは、たくさんの人と出会い、アートメイクを手がけるうちに、単なる施術ではなく「ケア」だと気づいたと話します。

西村さん「がん患者さんなど、病気になった人の失われたものを取り戻すためのお手伝いだと思っています。乳がんの患者さんのためのブレストアートメイクで役に立てるのを知ったときは、今すぐやりたいと思いました。」
ブレストアートメイクとは、乳がんで乳房を切除したり、その後再建したりした人の乳頭や乳輪を描くというものです。
片方の乳首と同じ色、乳輪の大きさなどはもちろん、乳頭の再建を行っていない場合は立体的に見えるようなデザインを施すため、高度な技術が求められます。
勉強を始めて1年半が経過した2025年の夏。西村さんにとって初めてのブレストアートメイク施術が決まりました。
患者は愛媛県内に住む30代の女性で、乳がんで右乳房を摘出後、乳房と乳頭の再建手術を受けました。しかし、右の乳首には色がありません。
「胸を気にせず大好きな温泉をもう一度心から楽しみたい」。そんな切実な思いで施術を決意しました。
そんな女性の思いに応えたいと、これまで以上に練習に取り組んだ西村さん。
毎朝6時の朝練からスタート。全国各地のブレストアートメイク看護師たちと情報交換ができるよう、練習の様子をライブ配信しながら技術を磨きました。
練習には丸みのある模型を使います。

眉や唇の施術よりも難しく、なにより胸というデリケートな部分。
家事や2人の子どもを育てながら、奮闘の日々を過ごしました。














