4月29日、第31回中原中也賞の贈呈式が行われた。

中原中也賞は山口市出身の詩人、中原中也の顕彰と現代詩の新たな才能にスポットを当てる「詩の登竜門」とも呼ばれる賞。

今回は267点の詩集から京都府の成清朔(なるきよ・さく)さんの「彼方の幽霊」が受賞した。

2月に行われた最終選考では5人の選考委員が全会一致で推した。

選考委員の川上未映子さん(作家・詩人)は「いろんなものの性とか生きづらさとかそういったものを静かに告発する内容もあるかもしれない」と作品について述べ、「このような声で、文章で、このような場所から語られたことはないんじゃないか。静かな、新鮮さに満ちたすばらしい詩集」と絶賛した。

「性」や「生きづらさ」ー

記者に配布されたプロフィールには生年月日や学歴などの欄もあったが、性別の欄には「ノンバイナリー」と記載されていた。「性別を男女どちらかと決めない・とらわれないこと」というもの。

贈呈式の総評で選考委員の蜂飼耳さん(詩人)は「生きている人間の身体について一般的な視点と個人の視点が交錯するところを繊細にことばに置き換えている」という点を作品の特徴として説明した。

同じく選考委員のカニエ・ナハさん(詩人)は「既成の価値観やジェンダーとの間の違和感に正面から向き合って、成清さんの詩でしか表現できない形でつくりあげた作品」と評した。

今回の贈呈式の会場には成清さんの姿はなかった。姿や声を公表することなく活動していることが理由としてアナウンスで告げられた。受賞者の欠席は東日本大震災が影響した2011年を除いて初めてだった。

同日、中原中也記念館で開かれた朗読会でも合成音声を介してみずからの詩を朗読していた。

会場で代読された成清さんの受賞あいさつの全文を掲載する。