裁判所「高熱や強い痛みがもたらした認知機能の低下による事実の誤認として説明しようとすることにはそもそも無理がある」
この裁判で弁護側が特に重点を置いたのが、被害女性(当時20)の高熱等による認知機能の低下が誤認を生じさせた可能性があるという主張であった。
福岡地裁小倉支部は、診察当時の被害女性に発熱や喉の痛み等の症状があったことは確かとしながらも
「被害女性が本件急患センターでの受付手続、問診票への記入、看護師及び医師である谷本被告とのやり取りをいずれも自力で行っていたこと、被害女性が問診票に記載した内容に意識障害の可能性をうかがわせるような異常な記載はなく、谷本被告が作成した被害女性の診療録にも被害女性の意識障害に関する記載は一切ない」
などとして診察当時の被害女性が妄想や幻覚を抱くような状態になかったことは明らかであると認定した。
また、福岡地裁小倉支部は弁護側が主張した”聴診の際の乳首ないしその周辺部への偶然の刺激”による誤認の可能性について
「聴診の際の乳首ないしその周辺部への偶然の刺激などというものが、被害女性が述べるような短時間ながらも持続的な刺激であるとは考え難いし、そのような刺激が一度の聴診の機会に偶然にも左右それぞれの乳首ないしその周辺にもたらされるということは一層考え難い」
と退けたうえで
「被害女性は、単に乳首をつままれたとだけ述べているのではなく、左右両方の乳首をつままれ、かつ、谷本被告は乳首をつまむ都度被害女性の方を見上げてきた旨も明確にかつ一貫して述べているのであって、このような被害女性の供述を高熱や強い痛みがもたらした認知機能の低下による事実の誤認として説明しようとすることにはそもそも無理があると考えられる」
と結論付けた。
さらに、福岡地裁小倉支部は
「左右両方の乳首をつままれたこと及び谷本被告が乳首をつまむ際に被害女性の方を見てきたことは、いずれも、警察に被害を申告するより前、本件診察の3日後に友人とLINEでやり取りをする中で既に被害女性が自発的に言及していた事柄である」
「被害女性の公判供述が谷本被告からわいせつ被害に遭ったという思い込みによって歪められた記憶に基づくものであるとも考えられない」
と判断した。














