裁判所「2回目の診察室入室時に喉の診察や胸部の聴診がそれぞれ行われたことが相当強く推認される」

56歳医師の男に判決を言い渡した福岡地裁小倉支部

弁護側は、谷本被告による喉の診察や胸部の聴診が被害女性(当時20)が1回目に診察室に入室した際、かつ検体採取より前に行われていたことを前提に、被害女性の供述内容が実際の事実経過と整合しないと主張した。

この弁護側の主張について、福岡地裁小倉支部は、診察室にいた看護師の公判供述から
「谷本被告は、発熱していて感染症の疑いがある患者に対しては、1回目に診察室に入室させた際に問診票を見ながらの問診や検体採取を行い、2回目に診察室に入室させた際に喉の診察、胸部の聴診及び詳しい問診等を行っていたと認められる」
と認定。

そのうえで
「本件診察時の診療行為の順序に関しては、谷本被告の普段の診察の手順に関する診察室にいた看護師の供述と、ある特定の体験に関する被害女性の供述という、互いに独立し、かつ、観点を異にする供述証拠が整合しているという事情があるのであって、このことからも、本件診察では、1回目の診察室入室時に検体採取が、2回目の診察室入室時に喉の診察や胸部の聴診がそれぞれ行われたことが相当強く推認される」
と結論付けた。

福岡地裁小倉支部は、弁護側が指摘した診療録の記載順序との相違についても
「診療録が経時的な記録という性質を有するとしても、一回の診察の要領を適宜まとめて記載することが常にそのような性質に反するものともいえない」
として弁護側の主張を退けた。