八戸市で唯一の映画館として市民に愛されてきた「フォーラム八戸」がきょう5日で閉館、19年の歴史に幕を下ろします。5日は多くの人が訪れ地元の出資によって誕生した「市民の映画館」との別れを惜しんでいます。



2003年に、八戸市内で唯一の映画館として誕生した「フォーラム八戸」。5日、19年の歴史に幕を下ろすことになり、朝から多くの人が訪れ別れを惜しんでいました。



※訪れた人は
「八戸市内に来る用事がなくなる感じで、ちょっと残念です」「寂しくて居場所もなくなるし、どうしようかなという感じ」

「家族と一緒に来てだんだん1人で来るようになって、(フォーラム八戸と)一緒に成長したみたいな所もあるので、八戸に映画文化を残してほしいという思いはあります」



戦後、映画が「娯楽の王様」だった時代、最盛期には八戸市内でも7つの映画館が営業していました。

しかし、時代の移り変わりとともに相次いで閉館していき、2001年には八戸市内から全ての映画館が姿を消します。

こうしたなか、市民の中で映画館をつくる機運が高まり2003年にオープンしたのが八戸フォーラム、現在のフォーラム八戸です。

108の地元企業と有志が約8000万円を出資し運営会社を設立し、フォーラム八戸は「市民の映画館」と呼ばれ愛されてきました。当時、株主として出資した八戸市の会社員、尾崎淳さんです。

※会社員 尾崎淳さん(50)
「八戸から映画館が全部なくなるとなった時に自分で映画館を作りたいなと思って、フォーラムの話がありそれがきっかけで株主として参加した」



尾崎さんはボランティアグループ、「作戦会議」にも参加すると同じ志を持った愛好者あわせて15人で、上映作品を紹介するチラシ「かわら版」を制作してきました。その数は、先月発行した最終号で500号にのぼります。



※会社員 尾崎淳さん(50)
「1日に何本も映画を見て始め見た映画の内容がわかんなくなってお尻痛いなと思いながら」「いつか再開されることを期待しています」


2000年代以降、県内ではスクリーン数が少ない映画館は、閉館する一方で、複合型映画館=シネマコンプレックスが進出します。

ただ、映画館を取り巻く環境は厳しさを増していき、おととし2021年、青森市内で唯一のシネマコンプレックスだった「青森コロナワールド」も20年の歴史に幕を下ろしました。

このため、県内の映画館はピークの2005年は10館51スクリーンありましたが、今回、フォーラム八戸が入居するチーノはちのへの再開発に伴い閉館することで6館27スクリーンにまで減ることになります。



※晴山努 支配人(45)
「建物が年月経て傷んでいく中、建築資材の高騰や半導体不足で継続が難しくなる。出店できれば賑わうのはわかるけど民間企業では資金力位に限度がある。市や県行政が助けてくれたらありがたい」



フォーラム八戸の運営会社は今後、3年間存続する方針で、引き続き、フォーラム八戸の移転・存続の道を模索したいとしています。