涙ながらに明かした黒原弁護士の思い

黒原弁護士 2025年

黒原さんは刑の確定から12年が経った現在も毎月1回、宮崎県から福岡拘置所の奥本死刑囚のもとを訪ねている。どんなに忙しくても、この接見だけは欠かしたことがない。2025年9月、奥本死刑囚の家族や支援者が出席した集会で、その思いを涙ながらに語った。

「死刑を回避する方法があったにも関わらず、自分の至らぬ弁護活動で1人の男を死刑にしてしまいました。その贖罪の気持ちで私は福岡に通っているのです。私が奥本を助けているのではありません。逆に彼から支えられているのです」

奥本死刑囚にとって、黒原弁護士の存在は

黒原さんの妻子を描いた奥本死刑囚の絵

奥本死刑囚の存在は、黒原さんにある「奇跡」をもたらした。刑の確定後、奥本死刑囚の支援者になった女性が、黒原さんの妻になったのだ。夫妻の間には2人の息子も授かった。

黒原さん夫妻に生まれた新たな「命」は、奥本死刑囚の数少ない生きる励みの1つになっている。独居房に置かれた写真立てには2人の子どもの成長の軌跡が収められ、命についてあらためて向き合うきっかけともなった。奥本死刑囚が描いた子どもたちの数々の絵は、黒原さん一家のリビングの壁を彩っている。

奥本死刑囚にとって、黒原さんはどんな存在なのか。関係者を通じて、筆者に書面で回答を寄せてくれた。

「黒原弁護士は大恩人です。愚かな僕に寄り添い続けてくれ、何かと助力してくださり、生きる力を与えてくれる存在で、本当に有難い、奇跡の存在です」