知床半島沖で観光船「KAZUI(カズワン)」が沈没した事故から4年の23日、北海道斜里町で追悼式典が行われました。
一方、事故の再発防止に取り組む観光船の現場では課題も浮上しています。

北海道斜里町のウトロ漁港です。
23日朝は、青空が広がり波も穏やかでしたが、4年前のあの日は事故が起きた海域に強風や波浪の注意報が出ていました。

知床半島沖で観光船「KAZUI」が沈没し、乗客乗員26人が死亡・行方不明となった事故から、23日で4年。

23日朝、女満別空港に到着したのは、行方不明となっている小柳宝大(こやなぎ みちお)さんの父親です。捜索で発見された宝大さんのダウンジャケットとリュックサックを身に着け、福岡から駆け付けました。

小柳宝大さんの父親
「『来たよ』という一声をかけます。私の体が動く限り息子がいる知床に毎年来ようと思います」

斜里町 山内浩彰町長
「私たちは忘れません。決して忘れることはありません」

追悼式典には、乗客の親族24人を含む90人が出席し、花を手向けました。

元斜里町長 馬場隆さん
「当時の家族を知っているだけに少しでも気持ちがやわらいで日常に戻ってほしい」

捜索のボランティアを続けてきた桜井憲二さんも祈りを捧げました。

捜索ボランティア 桜井憲二さん
「(いまだ発見されていない人の)お別れの場、区切りとできないでいるのが悲しい」

式典に参加した小柳宝大さんの父親です。

小柳宝大さんの父親
「残酷ですよ。こんな悲しい思いは皆さんにしてほしくない」

事故をめぐっては、業務上過失致死の罪に問われている運航会社社長の桂田精一被告の判決が6月17日に言い渡されます。

事故から4年。
乗客の親族たちは事故と向き合い続けています。

北海道南部の福島町で23日に行われた「安全祈願祭」です。
29日から小型クルーズ船の営業が始まるのを前に、無事故を誓いました。

断崖絶壁の海岸線と「青の洞窟」が魅力の「岩部クルーズ」。

手つかずの大自然をめぐろうと、毎年多くの観光客が訪れる人気のツアーです。

こうした事業に新たな課題が。

麻原衣桜 記者
「町が運営するクルーズ船には、事故を受けて救命いかだが導入されました。しかし、いかだの大きさや重さが、運航に影響を及ぼすなど、課題も浮き彫りになっています」

知床の事故を受け、国が示した66項目の安全対策。
岩部クルーズも、救命いかだに非常位置発信機、衛星電話なども装備してもしものときに備えます。

ただ、事業者はその導入や維持のために多くの費用が必要です。
この8人乗りの救命いかだの価格は、1台約100万円。

クルーズ船は、船長を含め定員13人のため2台購入しました。
金銭的な負担だけが事業者を苦しめるわけではありません。

福島町まちづくり工房 平野松寿さん
「1つ40キロを2つ。(重さの影響で)乗船定員を減らすことになるかも。仮に2人減らすとなると(収益の)乗船料もかなりきつくなる」

さらに。

福島町まちづくり工房 平野松寿さん
「国から示された船長になるための条件が少し厳しくなっている。その影響でなり手が少なくなってしまうかと心配している。船長業務ができない状態で雇用するので、全事業者、人件費などの負担は増えていくのではないか」

船長として客を乗せて営業できるようになるまで3年、資格試験の受験も必要で、なり手不足、そして小型船の事業者自体が減るのではという懸念も出てきているのです。

悲しい事故から4年。突き付けられた課題への知恵が必要になっています。