「家族の願い」と「冷徹な現実」の狭間で
2024年4月ー。
10数回目の腸閉塞は最後の入院となりました。これまでの入院とは違い、回復の傾向がみられません。
担当医からは「もう長くないかもしれません」と告げられました。
東京から2週間滞在する予定で妹が駆けつけました。
その妹が「最期くらい、パパが大好きなわが家で過ごさせてあげよう」と切り出したことから、家族の足並みは大きく乱れました。
私は激しく抵抗しました。点滴のみで生きている父を自宅へ連れて帰れば、その全責任は高齢の母にのしかかる。
実家で会うたびに妹と激しい口論になり、実家の空気は張り詰めました。
しかし、妹の揺るぎない意志に触れるうち、私の心にも変化が生じました。
「父が誇りを持って守ってきたあの家で最期を迎えさせることが、本当の正解なのかもしれない」「私たちが交代で母をサポートすれば、不可能ではないのではないかも」

一度は否定した「理想」に一縷(いちる)の望みを託し、私はその決断を後押ししてくれる言葉を期待して、内科医として働くいとこへ電話をかけました。
しかし彼の答えは、意外にも厳しいものでした。














