「ファンダム経済」の光と闇を描く
本屋大賞を受賞した「イン・ザ・メガチャーチ」の題材は、“推し活”で生まれるファンダム経済。
▼あるアイドルグループの運営に携わる、レコード会社社員の久保田(47)。▼アイドルに共感し、ハマっていく大学生の武藤澄香(19)。▼過去に俳優を熱烈に応援していた隅川絢子(35)。
搾取する側、される側、かつてのめり込んでいた側の3人の視点で、“ファンダム経済”の光と闇を描きます。
主人公の1人、大学生の澄香は、友人との関係に思い悩む中で、1人のアイドルと出会います。

「イン・ザ・メガチャーチ」より
「道哉を見ている間は、悠真のことも、それ以外のことも、あらゆる悩みが私の五感から消え去ってくれた」
「菜々とのこと、減らない体重、留学の二次選考、割り箸がどこ産なのか、今も世界で行われている戦争、ジェンダー格差に少子高齢化、日本の未来、自分の将来…そういうことから束の間、心身を避難させることができた。それは多分、収縮を繰り返して弛緩しきっていた視野が、ある一点に定まってくれていたからだ。道哉という一点に。快感だった。久しく出会えていなかった幸福感だった」
小川彩佳キャスター
「今の空気が凝縮されているというか、心がえぐられるけれども、読み進める手が止まらない、どこかで救われて欲しいと思いながら、読んでしまう」

朝井リョウさん
「自分自身に水を差しているなと思いながら書いているところも。なんとなく世の中で良いと思われているものの中にある暗がりと、なんとなく世の中で良くないと思われているものの中にある光を同列に横に置きたいという気持ちがあって、それができるのが小説だと思っている」
小川キャスター
「『ファンダム』という事象に名前がついて『推し活』という言葉も生まれて、これだけ注目されているというのは」

朝井リョウさん
「私もいろんな人のファンなので、ファンダムに所属している意識はある。たとえばいろんな同じものが好きな人と集まって、みんなでしゃべる、ご飯を食べるのは、すごく私にとって癒しだと思っている。
ファンダムの中にいる時は気持ちがいいけど、ファンダムと経済がカチッと結びついてしまって、『これだけこの商品を買えば、接触できる回数が増えますよ』とか、距離感が近づきますよというところが加わると、確かにファンダムでいた時の癒されるような、日常生活は別軸として持つことができていた、別軸の空間というものに資本主義が接続されてしまって、じゃあいっぱいいもっと働いて、もっと愛する対象と距離感を縮められるように何かを購入しなければならないとか、そういうことになってくるよなとは感じる」














