国家間の争い・選挙でも?「人を動かすもの」とは

今作でのテーマの一つは「人を動かすものは何なのか」。“物語”が持つ力について朝井さんは、登場人物にこう語らせています。

アイドルの運営側 国見(「イン・ザ・メガチャーチ」より)
「物語と自分との境界線が曖昧になるほど共感能力が高く、何でも自分ごととして捉えがちな人。没頭度が高く、自ら視野を狭めていける人」

そして笑みを浮かべ、こう話します。

アイドルの運営側 国見(「イン・ザ・メガチャーチ」より)
「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

朝井リョウさん
「人間の集団つまりファンダムは、もうちょっと言葉を費やして言うと、『何かを絶対に達成したい人』『誰かを絶対に勝たせたい人』とかの集まり。

ファンダム同士が同盟を組んで動き始めたり、ウソの情報を適切なタイミングで流して人々を動揺させたりとか、今まで習ってきた国家間の争いも選挙も、そういうところで見えてきた人間の動きと、実は変わらない。

行動力、支出、生きる推進力がここに眠っているんじゃないか。人間の集団の行動パターンが実は歴史的な事象と重なっていて、つまり未来とも重なるんじゃないかということが頭の中で合わさって、『あ、これは、生まれた』『今、出来た』みたいな気持ちになった。それが書き始めの動機」