「言葉がでないということはどういう感じなの?」当事者の親たちが知りたいこと

保護者からの質問を受ける加藤選手

加藤さんがもうひとつ大切にしているのが、保護者との時間です。保護者が互いの顔を見ながら本音で語り合える場所を作ったのは、自身の母親から言われた言葉がきっかけでした。

ライジングゼファーフクオカ 加藤寿一選手
「母は、『吃音があるのは自分の育て方が悪かったのか…自分のせいだと何度も責めた』と言っていました。『”母親のせいではない。誰でも起こりうることだ”と医師に言われて助けられた。吃音のある子どもを持つ親にしかわからない悩みもあるはずだから、子どもだけでなくて親も救ってあげてほしい』と言われました」

保護者からは質問が相次ぎます。加藤さんはそのひとつひとつに当事者として答えていきます。

保護者「子供の頃、吃音について親に相談することはあったのか」

ライジングゼファーフクオカ 加藤寿一選手
「”相談”という形はとっていなかったと思います。音読ができなかったことや、その日にあった出来事は話していました。その度に母が、「また次うまく話せたらいいね」というようなポジティブな言葉を返してくれたことを覚えています。共感してあげることが大事だと思います。母からは一度も”吃音のある子”というふうに接せられたことはありません。母は、ずっと背中を押し続けてくれました。決して裕福な家庭ではありませんでしたが、制限せずに僕がやりたいことを『まずは、一度やってみよう』と挑戦させてくれたことが自分の自信にも繋がりました。常にポジティブだったことがありがたかったです」

保護者「言葉がでないということは、どういうふうに頭と体が繋がっているような感じなのか」

ライジングゼファーフクオカ 加藤寿一選手
「感覚的には、意識すれば出てくるということではなく、話そうと思うと最初の言葉が喉に詰まって出てこないという感覚。僕の場合、中学生の頃には、話そうとした時に言葉が出るかわかるのではなく、その言葉を話す前には出てこないことが前もってわかる感覚がありました。特に、音読は難易度が高く、怖かったです。吃音が出てしまうのではないか、笑われるのではないか、そんなことを毎回考えていました。例えば、『足』という小学1年生で習うような簡単な漢字が読めずに周りから笑われる経験をしたことがあります。書いてある漢字はわかるが、その言葉が出てこない。周りからすると”どうして簡単な漢字が読めないんだ”と思われることがありました。”わかっているけどでない、でてこない”という感覚があるんです。今は、深呼吸をして落ち着き、抑揚をつけて話すことで話しやすくなっています。誰かと話している時限定ですが、もし言葉の置き換えができないときは、誰かに言ってもらうためにヒントを出して相手に言ってもらうことを今でもしています」