想定される自衛隊派遣の“4ケース”

―仮に日本の護衛艦を派遣する場合、どういったケースが考えられるのでしょうか。
河野元統幕長:
派遣する目的というのが、タンカーがホルムズ海峡を通過できるようにしてもらいたいと。「それは、利害が大きく絡んでる日本の役目でしょ」というのがトランプ大統領の見方ですよね。それで考えられるのは4つ。1つは存立危機事態。これは限定的・集団的自衛権に基づくものですから、自衛隊としては武力の行使が可能になりますので、必要な武力を使うことができると。ただしこの非常に厳しく、それをクリアしているかどうかという問題があります。現時点で木原官房長官は「そういう状況にない」と。私も今はそういう事態ではないと思います。ただし今後これが長期化して、本当に石油の備蓄が全部放出したという状況、国民生活に大きな影響を与えるような事態になったときに、それはやはり1つのターニングポイントが来る可能性はあります。
もう1つ、海上警備行動です。これは治安維持ということが基本的な目的なんです。しかし、武器使用について非常に制約がかかるということと、海上警備行動というある種、治安維持ですから犯罪行為を取り締まるという思想なんですよね。今回の場合ですと、イランが主権国家で、これは海上警備行動の範疇を超えるわけです。これも適用できないと私は思います。
もう1つが現にホルムズ海峡の外側でやっている情報収集・警戒監視というものなんですけども、これは調査・研究という規定があって、これに基づいてやっているんですね。これを範囲を広げてホルムズ海峡の辺りまで広げてやるということも考えられるわけですけども、平時の任務とか、平常でできることなんですね。基本的に武器の使用というのは全然想定していないもので、(タンカーの)護衛という任務ができるのかということと、自分の国のためにやってるんですよね。今回ホルムズ海峡にトランプ大統領のリクエストに基づいて派遣するとなると、この警戒監視・情報収集をしたその情報は、アメリカに提供しないと意味がないわけです。アメリカは今度提供した情報に基づいてイランに対する攻撃をする可能性だってあるわけですよね。ということは、そういう意味では戦闘行為に加担をするわけです。その根拠法規が行政組織法である防衛省設置法を根拠にして、戦闘行為に加担する、これもちょっと極めて無理があると思います。
もう1つは重要影響事態ですね。放置したら我が国の安全保障に重要な影響を及ぼす。なおかつ、我が国に対する武力行使に発展しかねないといった状況のときに、アメリカに対して後方支援ができると、こういう話なんです。これを今回のホルムズ海峡に適用したときに、これが日本に対する武力攻撃に発展する可能性っていうのは、これはちょっと考えづらいですよね。なおかつこの重要影響事態というのは法律的に戦闘地域でやれないんですよ。そうなるとやはり、ホルムズ海峡の外側でやるということになるんですよね。
—連日報道でも出てますけれども、今のご説明も踏まえてもやはり法的枠組みの中では、自衛隊が艦船派遣というのはなかなか難しいのかなと。
河野元統幕長:
やはりピタリとは来ないんですよ。それぞれハードルがあるんですよね。そこは政府も十分承知されていると思うのでそこら辺を踏まえて今検討がなされてると思うんですが、一方で、日本の戦後の歩みですけど、安全保障防衛はアメリカにやはり頼ってきたわけですよね。だからアメリカにプレゼンスを示してもらうのが日本の安全保障にとって重要なんですよね。こういった日本の安全保障についてはアメリカに対してこうやってリクエストをするわけですよね。今回アメリカは、ホルムズ海峡に苦労してるわけです。そのときに「あなた関係深いでしょ」「だから助けてくれ」ということですよね今回は。それに対してゼロ回答っていうのはね、日本としてとれるのかということなんです。それが国益を照らした場合に非常に難しい。だから(日本はアメリカに対して)ゼロ回答は私はやはり、ないと思うんですよね。

















