高校生が3万6500部発行する「子ども食堂新聞」

参加者の中には子ども食堂を運営するだけでなく、子ども食堂の利用拡大や、支援する人の輪を広げる活動をしている人もいた。

その1人がこの連載の第43回(“コンビニを子ども食堂に”多くの寄付を集めた高校生のアイデアとは)で取材をした、兵庫県宝塚市にある雲雀丘学園高校の卒業生の西村麻佑さん。高校時代に山本実侑さんとともに「コンビニを子ども食堂に」をテーマに活動した。

その子ども食堂の仕組みはこうだ。まずコンビニ利用者が1つ300円の「フードリボン」を購入して店内に掲示する。子どもたちはそのリボンを1つ手にとることで、1食分の食事ができる。しかし、リボンを購入してもらうのがなかなか難しい。そこで彼女たちはフードリボンが集まると、自分たちが作ったモザイクアートが完成するという工夫をこらして、より多くの寄付を集め、コンビニの売上増加にも貢献した。

大学生になった西村さんはオンラインで参加し、現在も取り組みを続けていることを報告。長期的に続けられる体制を整えることが課題だと話した。

また、広島県福山市の福山暁の星女子高校2年生の秋山実貴さんは、市内の子ども食堂情報をまとめたフリーペーパー「福山こども食堂新聞」を作成、配布している活動を発表した。

発表する秋山実貴さん
福山こども食堂新聞

この取り組みは卒業生が個人で始めたもので、現在は3代目の3年生と、4代目の秋山さんが活動を引き継いでいる。先輩が考案したうさぎのオリジナルキャラクターをシンボルに、親しみやすい紙面を作っている。

秋山さんらは市内の子ども食堂を取材して、運営する人へのインタビューなどを掲載。市内の子ども食堂の紹介では、所在地を単なる距離で表すのではなく「小学校から何歩」といったわかりやすい表現を心がけている。製作費は企業の協賛金で賄っている。さまざまな企業を訪問して直接協力を呼びかけることによって協賛金が増え、発行する度に部数も増やすことができた。

この取り組みは市内で知られるようになり、2024年に発行した第5号では、多くの企業からの協賛を得た。その結果、福山市内の小中学校に通う全ての児童・生徒に約3万6500部を配布することができた。2025年に発行した第6号は、配布する対象を幼稚園と保育園、それにこども園に広げている。

さらに次号からは、地元の印刷会社が費用を負担して、印刷してくれることも決まった。秋山さんは会場で他の学生と交流したことで、今後の活動について思いを新たにしていた。

「いろいろな地域で子ども食堂をされている方のお話を聞けて、すごく貴重な経験になりました。それぞれの子ども食堂が試行錯誤しているのを見て、私たちも新聞の中で新しい企画を考えることができたらいいなと思いました。次号は高校生にも向けて作りたいなと思っていて、より多くの人の手に取って頂けるように作っていきたいです」

学生子ども食堂の課題の一つに、卒業後に次の世代の学生にうまく引き継げるかがあるという。今回の全国大会のように、全国で活動する学生がお互いの課題を出し合うことで、解決策も見えてくる。学生子ども食堂の役割は、これからもより良い形に変化していくのではないだろうか。

「調査情報デジタル」編集部

【調査情報デジタル】
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