裁判所の判断「皮膚変色が打撲痕であったということはできない」

判決時の法廷(福岡地裁・2026年3月)

検察側は、笑乃ちゃんの後頭部に確認された3か所の皮膚変色について、松本さんの暴行によりできたものだと主張していた。

しかし福岡地裁は、以下の理由から打撲痕と認めることはできないと判断した。
・本件皮膚変色は手術前に撮影された写真で確認できるものの、写真からはその形状や色調を判別するのには限界がある
・本件皮膚変色がいつから存在するのかすら証拠上明らかでない
・皮膚変色は笑乃ちゃんの頭部の右側に生じているようにも見え、頭部の左側に生じている骨折線と整合しているとは必ずしもいえない
・治療を担当した医師ですら打撲痕であると確認しているのか疑義の残る

さらに福岡地裁は、褥瘡(床ずれ)である可能性について詳細に検討した。

弁護側が請求した医師たちは
「2時間以上体位変換をしなければ褥瘡リスクは高まり、乳児は後頭部や頸部に褥瘡が生じやすいところ、笑乃ちゃんは午後0時頃に救急搬送が開始された後、午後10時すぎ頃の写真撮影まで約10時間仰向けのままであったため、後頭部に生じている皮膚変色は褥瘡であると推定される」
と証言した。

福岡地裁は
「医師たちの証言は、褥瘡に関するガイドラインや研究報告によって裏付けられたものであり、一定の根拠を有するものといえる」
「本件皮膚変色が褥瘡である可能性は否定されない。本件皮膚変色が打撲痕であり、少なくとも2回の打ち付けがあったということはできない」
と判断した。