特定技能事業所の76%が「法令違反」 問われる雇用者責任

小川彩佳キャスター:
不法就労は本当に問題があるとは思いますが、「疑いの目を向けられるのではないか」という外国人の方の気持ちも非常に理解できますし、「報奨金1万円」という通報制度のあり方について、どうみていますか?

教育経済学者 中室牧子さん:
海外の制度について改めて調べてみると、個人を通報するという制度がないわけではありませんが、その場合には報奨金が出ないことの方が多いようです。

それは外見や言葉で差別を助長したり、通報乱用といったようなことが生じたりすることを防ぐ意味があると思います。

一方で、例えば密入国ビジネスや犯罪行為をやっているような犯罪組織の通報については、報奨金が出ているというケースもあるようです。

そうした諸外国の制度などをよく見ながら運用を決めていかなければいけないと思います。

茨城県知事の発言にもあったように、しっかりと雇用者責任を問うていくということの方が重要なのではないかと私は思います。要するに、企業に対する取り締まりを強めていくということです。

なぜかと言うと、実は、2025年に厚生労働省がある調査結果を発表しています。特定技能外国人を雇用している事業所の76%で労働基準法の法令違反をしているというものです。

結局、不法就労の問題は雇う企業があるからそういう問題が起きているわけであって、企業の責任を問わずして対策というのは難しい。なぜかというと、最後は他の人に入れ替えられて、イタチごっこになるという可能性もあるからです。

藤森祥平キャスター:
雇わざるを得ないという点で言うと、人手不足ということがあります。

東京商工リサーチによると、2025年の人手不足関連での倒産件数は397件と、前の年と比べて36%も増えています。2013年に調査を始めて以来、過去最多を更新している中で、外国人人材に頼らなければいけないという実情も当然あります。

教育経済学者 中室牧子さん:
外国人労働者は今後も増加していくと思いますが、短期間に急速に外国人労働者が増えると、その地域で社会不安が非常に高まったり、社会統合が追いつかなかったりというような事態があるということが、海外の研究でわかっています。

徐々に増やしていって、社会統合がきちんと追い付くような形にするということが、非常に重要なのではないかと私は思います。

一方で、今はまだ、いわゆる単純労働をする労働者の話を終始している感じがありますが、そもそも日本政府の外国人政策は、「高技能の人たちを日本に迎え入れたい」という重要な政策だったのですが、そっちの方は全然議論が行われていないように思われます。

我々大学も博士号を取った研究者や研究員を受け入れていますが、在留資格の書き換えが紙ベースで行われていて、かなり時間がかかったりすると。

そういう高技能の労働者に積極的に入ってきてもらい、定着してもらうという政策についても、しっかり議論していかなければいけないのではないかなと思います。

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<プロフィール>

中室牧子さん
教育経済学者
教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」