東日本大震災での福島第一原発事故から、あすで15年。アメリカではトランプ大統領のもと、「原発回帰」の動きが加速しています。その背景には何があるのでしょうか。

アメリカ西部、オレゴン州。空港から車で2時間ほど走ると見えてきたのは、大きな貯水槽のようなもの。次世代の原発と呼ばれるSMR=小型モジュール炉のモデルです。

記者
「こちら原寸大の模型ということなんですけれども、私の身長と比べましても非常に小さく、想像以上にコンパクトな印象です」

従来の原発に比べて必要な敷地はおよそ20分の1。こちらの企業はアメリカ国内で初めて設計の認可を獲得。今回、日本メディアとして初めて取材を許されました。

アメリカでは小型モジュール炉の稼働はまだ始まっていないものの、高い関心を集めているといいます。その背景には、私たちの生活にも浸透する“ある技術”があります。

NuScale ホセ最高技術責任者 
「AIの普及により電力需要が急速に高まっています。3~5年前は50~100メガワットが必要でしたが、今は2000メガワットが必要になっています」

AIを動かすために不可欠なデータセンターは莫大な電力が必要なうえ、24時間安定した供給が求められます。小型モジュール炉は工場で製造して運搬できるのでデータセンターの近くにも建設しやすく、天候にも左右されず、安定して電力を供給できるため、まさに「AI向きの電力」といわれています。さらに、外部電力なしで停止できるなど安全性も高いと主張します。

NuScale ホセ最高技術責任者
「何か問題が発生した場合、原子炉は作業員の操作なしに自動的に停止します。確率論的リスク評価で1000倍安全といわれています」

IT大手のアマゾンは小型モジュール炉の開発企業に約750億円を投資。グーグルやメタも原子力関連企業と契約しています。

アメリカ トランプ大統領
「原子力の時代だ。我々は大きく行く」

トランプ大統領は去年、原子力発電を推進する4つの大統領令に署名。2050年までに発電量を4倍に増やすとするなど原発回帰の動きが加速しています。その影響は暗い過去を持つこの場所にも。

47年前、“アメリカ史上最悪”と呼ばれた原発事故を起こしたペンシルベニア州のスリーマイル島原発。廃炉が決まっていた1号機はおととし、一転して再稼働が決定。マイクロソフト社のデータセンターに電力を供給するということです。

原発近隣に住むパトリシアさん
「最初はショックでした。そして、すぐお金のためだと気づきました」

事故当時から近くに住むパトリシアさんは、事故の記憶が風化し、住民の安全より企業利益が優先されていると危惧しています。

原発近隣に住むパトリシアさん
「政府や企業は自分たちの利益だけを考えていて、影響を受けるかもしれない住民のことなど考えない。これが私の得た教訓です」

高まり続ける電力需要のなか、薄れゆく事故の記憶。アメリカはこうした懸念の声にどのように向き合っていくのでしょうか。