東日本大震災から15年がたち、記憶の風化が指摘される中、重要な役割を果たしている震災遺構。しかし、いま、その維持や管理が曲がり角に差しかかっています。

止まったままの時計。置かれたままの上履き。

あの日の記憶を、ありのままの姿で伝え続けている福島県浪江町の請戸小学校。福島県で唯一の震災遺構に指定されてから、今年で5年となります。

東京から来た家族
「テレビで見るより、実際の被害の大きさがよくわかる」

その一方で、こうした震災の伝承施設がいま、曲がり角に差しかかっています。年間6万人以上が訪れる一方で、400万円ほどの赤字が続いていました。

町は、運営コスト削減や集客力を上げるため、指定管理者制度を導入しました。

指定管理者として、運営を担うNPOの代表・太見洋介さん。大手不動産会社で駐在員だった経験を生かし、海外にも請戸小学校の教訓を伝えています。

海族DMC 太見洋介 代表
「シンガポールやフィリピン、タイ、バンコク、自然災害が多い土地でもあるので、請戸小学校に実際に来てもらって、見てもらう、海外へのアプローチは積極的に行ってきた」

多いときで、1日40人ほどの外国人が訪れるようになったといいます。

マレーシアから来た人
「津波によって何が起きたのか、マレーシアでもニュースや映像でたくさん見た。何が起きたのか現地で見たかった」

赤字も減少傾向にあり、経営状態は改善しているといえますが、一方で、時間の経過とともに深刻になりつつある課題も残っています。

海族DMC 太見洋介 代表
「小学校の老築化というか、風化とどう向き合いながら維持管理していくかということは課題だと思う」

町が運営していたときから課題の1つだった施設の物理的な風化は、進んでいるのです。

海族DMC 太見洋介 代表
「何が起きたのかということと、そのあと自分の身をどう守るのかという『伝承』から『教育』の方につなげていけるように。私たちとしても請戸小学校を維持管理していきたいと思う」

町と連携をとりながら建物をケアしていますが、ありのままを見せるというコンセプトと、施設の維持との両立が大きな課題となっています。

震災から15年。これから20年、30年と、教訓を伝え続けるための模索が続いています。