遠のく故郷への帰還 “支援の手”も届かず

記者
「今まさにドンバスの方からの避難者を乗せた救助の車が到着しました」
担架に横たわっていたのは、ドネツク州に50年間住んでいた85歳のバレンティナさん。

ドネツク州から避難 バレンティナさん(85)
「故郷は今、おそろしく危険。戦場になってしまった」
バレンティナさんは足が不自由で戦火が迫る中での生活は、“もう限界だった”といいます。

バレンティナさん
「今は水も電気もガスも暖房もない。何よりも悲惨なのは、暖房がないこと」
絶え間なく続く「停電」や「断水」。
侵攻開始以来、約10万人を救助してきた団体は「この冬、避難を決断した人は少なくない」と語ります。

East SOS広報 オクサナさん
「状況は年々悪化し続けている。それでもなお『まだ大丈夫。2022年と同じペースで続けられる』という考えを私たちは持ち続けている。しかし実際は違う。私たちは疲れている。国家として疲弊している」
この4年でドローン兵器などが発達したことで、救助活動の危険性が高まり、今後は“救えない地域”が増えていくと指摘します。

オクサナさん
「2022年から2023年にかけては、最前線から1〜2㎞の場所で活動できた。しかし今は、20㎞圏内全域が危険地帯で、ドローン攻撃の脅威にさらされている。支援団体にとって、もはや多くのエリアがアクセス不可能になっている」
半日がかりで救助されたバレンティナさん。“故郷に戻れる日は来ない”と悟っています。

バレンティナさん
「故郷は緑溢れる街だったが、今は半分が焼け焦げてしまった。これが戦争」
和平協議の最大の争点ともいえる、ドンバス地方をめぐる領土問題。
そこに暮らしていた人々の故郷と日常は、今も奪われたままです。














