経産省原子力小委員会 松久保肇 委員
「推進派が9割を占める委員会で議論の多様性はない。福島第一原発事故から11年の積み重ねを、一挙に4か月で覆したわけだから、少なくてももうちょっと丁寧な議論が必要だったと思う」

原発事故後、避難指示解除に合わせて、福島県大熊町に戻ってきた夫婦は・・・

避難指示解除後に大熊町に期間 伏見明義さん
「安心安全と言ってもやっぱりわからない。口ではなんとも言えるけど、いざ大きな地震なんかきたりすると、どうなるかわからないから」

避難指示解除後に大熊町に期間 伏見照さん
「やっぱり孫たちの時代が果たして、安全にいくかどうかは一番心配するところ」

■4か月でスピード決定の理由は?

国山ハセンキャスター:
日本の原発政策が22日、大きな転換点を迎えたわけですが、まずは今ある原発について見ていきます。

未稼働・運転停止中のものを含めると、原発は全部で33基あります。そのうち4機が運転開始から40年以上、13機が30年から39年経過しているということです。

小川彩佳キャスター:
原発事故を受けて、この40年というのが運転期間の一つの区切りになっていますよね。

国山キャスター:
そんな中12月22日、政府の会議で決まったのが原発の運転期間延長です。今までは運転期間は40年、そして延長を認める期間20年、最大60年とされてきました。それが今回、既存の原発を可能な限り活用するため、福島第1原発事故後の長期停止期間を除外する方針となり、60年を超える運転というのが可能になりました。

また安全性の確保や地域住民の理解を前提に、次世代型の原子炉の開発建設に取り組む方針も決まったということです。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
停止分を延長するということなんですけど、これ10年に限らないで15年とか20年ぐらいになっても、場合によっては70年ぐらい使う、70年80年使う、というようなことにもなりかねないわけです。

それから電力会社からすると、次の新しい原発を作るよりは今の物をどんどん修理して使っていた方がいい、安上がりなんです。しかし、安全性という点でやっぱ新しいものに切り替えた方がいいので、古いものを使い続けるっていうのは問題があるんです。

それから何よりも、その使用済み核燃料をどうするかっていう問題、今回一切触れてないんですよね。ウクライナ戦争で使用済み核燃料が攻撃されたらもう大変なことになるっていうのは、我々も目の当たりにしてるわけです。

そこがスルーされてるというのは、非常に問題が大きいと思います。

小川キャスター:
もう一つの防衛費を巡る問題と同じくプロセスの問題ですけれども、総理が検討を指示してからわずか4か月のスピード決定ということになりました。なぜ政府はこんなに決断を急いだのでしょうか?

星氏:一つは、柏崎刈羽の再稼働を進めて東京電力の経営を安定させたいというのが本音だと私は見ています。一方で防衛費と同じように、これだけ政策の大転換をするわけですから、決定プロセスも転換すべきだと思います。

少なくとも福島の関係者の意見を聞くとか、タウンミーティングを重ねるとか、新しい形でその民意をくみ取るという工夫をする必要があると思います。