■中間選挙を受け、2023年からアメリカ議会では下院がウクライナ支援に「懐疑的」な共和党が多数派に

井上貴博キャスター:
アメリカのバイデン大統領にとっても成果を上げたいという思惑があったんだろうと思いますが、今回のこのアメリカ訪問によってよりウクライナ対ロシアではなくて、国際社会対ロシアである、この構図をより鮮明に見せる効果があったのかなというふうに感じたんですが、小谷教授は今回のアメリカ訪問をどうご覧になりましたか。

明海大学 小谷哲男教授:
アメリカの議会が年明けから、11月の中間選挙の結果を受けた構成に変わります。下院に関しては共和党が多数派になりますが、共和党の議員の中にはウクライナに対する支援に懐疑的であったり、あるいは表立って反対をしている議員が相当数います。このタイミングでの訪米そして、対面での議会での演説というのは、いまウクライナが戦ってる戦争というのは決してウクライナが自ら守るためだけではなく、世界で自由や民主主義が脅かされているというアピールを、議会はもちろんですけれども、これを聞いているアメリカ国民にもう一度訴えかけて、そしてその支援の継続をお願いするということで行ったんだと思います。

井上キャスター:
アメリカのみならず、「支援疲れ」ということも報道されますので、そういったところの懸念もあってこのタイミングでゼレンスキー大統領は行動を起こしたということですか。

小谷教授:
今回はアメリカでしたけれども、やはりヨーロッパの中には「支援疲れ」という傾向も見てとれるようになっています。しかし、アメリカが支援を継続するのであれば、他のヨーロッパもさらに支援を継続しようという流れが作れますので、そういう意味でも今回アメリカ・ワシントンに行くという決断をゼレンスキー大統領がしたんだと思います。

井上キャスター:
最近、停戦の動きというのもなかなか出てこないんですけど、これはいま中途半端に停戦交渉したとしても、ロシアが時間稼ぎでただ軍を整えるだけだから、いまあまり停戦しても仕方ないという思惑とかがウクライナやゼレンスキー大統領側に働いているのでしょうか。

小谷教授:
ゼレンスキー大統領としては、いまの段階で仮に停戦したとしても、ロシアがそれに本気だとは考えられませんので、単に時間稼ぎ、さらなる侵攻を準備するだけだという判断でしょうから、そういう意味でもアメリカに対していま停戦をするつもりはないと、もっと武器の支援などをしてもらって、今度は何としても軍事力でロシアをウクライナから追い出す、そこまで助けてほしいということだと思います。

■ロシア 新型ICBM「サルマト」を近く実戦配備へ アメリカも射程に

ホランキャスター:
ウクライナの動きに対して、ロシアはどのような動きを見せているのかということなんですが、12月21日、プーチン大統領は近々、新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)の「サルマト」が初めて実戦配備されるというふうに話しました。「サルマト」は射程1万8000キロ、これはアメリカ本土にも到達する距離だということです。さらに、「サルマト」には10個の核弾頭を搭載することが可能なので、ウクライナ、そしてアメリカなどの動きを牽制しているのではないかというふうに見られています。

井上キャスター:
ロシアによるウクライナへの侵攻がより長期化していくことが考えられますが、萩谷弁護士はどんなことを感じてらっしゃいますか。

萩谷麻衣子弁護士:
ゼレンスキー大統領の訪米は、アメリカ側から求められたものだという報道がありましたので、アメリカとしてもこれまでのような支援を続けていくにはここまでしないとなかなか難しい状況になっているのかなと思いました。

小谷教授に伺います。いまはロシア軍が立て直しの時期になっていて、2023年の1月末から2月にかけて大規模なロシアによる攻撃が始まるんじゃないかとウクライナ側では心配しているようですけれども、今後アメリカの支援が継続した場合、それはウクライナの戦況が有利になっていくのか、あるいはロシアがかなり盛り返す可能性があるのか、そのあたりどういう見立てをしていらっしゃいますか。

■2023年1月以降、ロシア側がキーウへの再侵攻の可能性も ウクライナとしては「まずはアメリカに動いてもらう」

小谷教授:
2022年の9月にロシアが部分的動員ということで30万人を更に追加で兵力として加えましたけれども、そのうちの20万人がいまかなり訓練を重ねていて、2023年の1月以降、キーウへの再侵攻も含めた作戦を取られるという見立てが広まっています。それは、ウクライナはかなり警戒しているわけですが、そのためにも、アメリカあるいはヨーロッパからできるだけ能力の高い兵器、それから弾薬庫の供与が必要だということで今回訪米をして、まずはアメリカに動いてもらう。また、今回の演説でも戦車と戦闘機に言及していましたけれども、これはまだ欧米は供与してないんですね。これを何としても供与してもらいたいという強い思いがあったんだと思います。

井上キャスター:
先々、誰も予測できないところになってると思うんですが終着点、終戦はどういうタイミングになるのか、これはウクライナが圧倒的に優位に立たないとそれが見えてこないのか、どう予測されてますか。

小谷教授:
少なくとも2022年2月24日の侵攻開始以前の状態までウクライナが領土を取り戻さないと、まずはウクライナ国民が停戦に納得しないというふうに思います。その先、例えばクリミア半島をどうするかというのはもしかすると交渉は可能かもしれませんが、まずはウクライナ本土に侵攻が続いているという状況ですので、それを何としても排除するということが重要だというふうに考えております。

井上キャスター:
むしろそうしないとウクライナ国民が納得しないということですね。

小谷教授:
そうですね、かなり民間人に対する攻撃、虐殺も行われていますので、簡単にロシアを許すことはできないと思います。