「成年後見制度」を使う人は警備の仕事に就けない。こう定めた法律で仕事を失った男性が国を訴えた訴訟で、あす最高裁が判決を言い渡します。男性は、「障害があってもできることはある」と訴えています。

岐阜県の男性
「止まってくださいの合図。徐行してくださいみたいな感じで」

岐阜県に住む30代の男性。軽度の知的障害がありますが、2014年から警備会社で交通誘導の仕事をしていました。

岐阜県の男性
「その時は楽しかった、やっぱり。(先輩に)いいアドバイスをもらったり。頑張ろうと」

できることが増えるにつれ、やりがいも大きくなっていった男性。しかし、2017年に突然、退職を余儀なくされました。

その理由は「成年後見制度」と「欠格条項」。

「成年後見制度」とは、精神障害などが理由で判断能力が十分でない人のために、裁判所が指定した人物が財産の管理などを支援する制度です。警備の仕事の規則を定めた警備業法はかつて、「成年後見制度」を使う人は警備の仕事に就くことができないとする「欠格条項」を設けていました。

男性は2017年、親族との金銭トラブル解消のため「成年後見制度」の利用を開始。その結果、会社から契約解除を告げられたのです。

岐阜県の男性
「『は?』みたいな感じにはなった。『何かしたかな?』と最初は。モヤモヤじゃないけど、疑問に思った」

無断欠勤もトラブルを起こしたこともなかったという男性。退職前年の勤務表を見てみると、多くの月で、ほぼフルタイムの勤務をしていたことがわかります。

岐阜県の男性
「納得はできんよ、結局。なぜ保佐人(成年後見の1つ)がついたぐらいでダメなのか。ミスしたり、何か大事していれば納得できるけど」

男性は2018年、警備業法の「欠格条項」は憲法に違反するとして国を提訴。1審・2審はいずれも、憲法22条の「職業選択の自由」などに反するとして国に賠償を命じ、国側が上告しました。

先月、最高裁の裁判官15人全員で審理する大法廷で弁論が開かれ、男性はこう訴えました。

岐阜県の男性
「私は働くことが好きです。裁判を起こしたのは、自分以外にも同じような状況の人がいると思うからです」

一方の国側は…

国側
「『欠格条項』には必要性や合理性が認められ、憲法に違反しない」

改めて争う姿勢を示しました。

実は、「欠格条項」は警備業法のほかにも自衛隊法や医師法など180以上の法律にあり、男性が国を訴えた後の2019年に一斉に削除されています。

男性は、「障害者のできる・できないを国が勝手に決めないでほしい」と訴えます。

岐阜県の男性
「障害があってもできることはある、できないことはある。何でもチャレンジしてみて、試してから、駄目だったら駄目とそうしてほしい」

最高裁が法律の規定を憲法違反と判断すれば、戦後14件目。判決は、あす言い渡されます。