農家を困らせる鳥獣と言うと、何を思い浮かべますか?
上岡 梨紗 アナウンサー
「玉名市に広がる小麦畑。その小麦を食い荒らす野生動物がいます。その正体はカモなんです」

熊本県玉名市では、この時期になると、越冬のために飛来したマガモなどによる被害が増加するといいます。

小麦農家 田端 末雄さん
「この辺。これを食べてね、根本まで無くなっていたんけど、伸びてきたんですよね」

カモの食害を自治体が把握したのは6年ほど前。しかし、農家は約20年前から頭を悩ませてきました。

田端さん
「いろいろ対策はしているんですけど、やっかいなんですよね。慣れたらカモはまた来るんですよ」

県によりますと、2021年度の野生鳥獣による農作物の被害額は、5億4000万円近くに上り、その3分の1を占めるカモ類は、前の年度から1.7倍に。

特に、玉名地域での被害が急増しています。なぜこんなにも増えたのか?玉名市は、カモが露地野菜を「餌」と認識したことが原因とみています。

玉名市でキャベツやブロッコリーを栽培する農業法人では、3年ほど前から植えたばかりの苗や収穫間近の作物が被害にあい始めました。

マルダイ 植田 旭 主任
「葉っぱをつつかれてキャベツに傷が入って、あとはフンをそのままキャベツにしていって汚れる」

カモの食害が広がっていることに専門家は…
熊本博物館 清水 稔 学芸員
「人間が作っている作物というのは、そもそもアクがない・量が多い・柔らかい・栄養価が高いということで、安定して得られる環境にあれば野生の草よりも人間が作っている作物に手を出すというのは当然の話だと思います」

この事態に県は、レーザーライトや旗を立てるなど対策をとっていて、専門家は、これらを組み合わせることでより効果が得られる可能性があるとしています。
