年も改まって2026年。年始早々、日本海側では記録的な豪雪が続き、高市総理がいきなり衆議院を解散と、予期せぬことがドーンと起こって巻き込まれ、事態がドンドン進んでしまうような印象。
そうしたなかで昨年の話をするのも気がひけますが、今回のテーマは、小説と映画の大ヒットで社会現象化した、あの『国宝』です。「任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記」(映画『国宝』公式サイト)が、多くの人を魅了し、動かし、巻き込みました。
『国宝』の発端は、2017年元日開始の新聞小説でした。18年5月に完結して同年9月に上下巻の単行本が出ると、作者・吉田修一さんが18年度芸術選奨文部科学大臣賞、作品が第14回中央公論文芸賞を受賞。21年には文庫化。
映画のほうは、ウィキペディアによると、昨年(25年)6月に公開以降、累積の興行収入が8月に100億円、9月に150億円を超え、11月に173億7千万円を超えて実写邦画歴代No.1を記録。
これを受けて小説も、10月には単行本、文庫、電子版の上下巻の累計発行部数が200万部超え。「そのうち少なくとも164万部は、6月の映画公開後の4か月あまりの間に次々と版を重ね」たもの(朝日新聞、2025年11月1日)。
ご多分に漏れず、筆者も昨年映画を鑑賞。175分の上映時間が気にならないほど没頭しました。一緒に見た妻は、年末に文庫版の小説を買って冬休みに一気読み。夫婦で売上に貢献した次第です。
こうした映画の興行収入や小説の発行部数もデータですが、人々の行動や趣味嗜好についての調査データであれこれ考えるのが、このコラム。『国宝』のことも調べた昨年10月実施のTBS総合嗜好調査(注1)データがようやく集計できたので、早速お披露目したいと思います。
小説も映画も『国宝』が世間を席巻
毎年10月に行うTBS総合嗜好調査では、「最近話題になった作品で読んだもの・読みたいもの」や「見て面白かった・ぜひ見たいと思う映画」について、示された選択肢からいくつでも選ぶ質問をしています(注2)。昨年の東京地区での調査結果を集計して、それぞれのベスト10を並べてみると、次の棒グラフのようになりました(注3)。

これを見ると『国宝』は、小説では断トツのトップ、邦画ではアニメ「劇場版『鬼滅の刃』無限城編第一章猗窩座再来」(25年7月18日公開)に次ぐ2位。実に3人に1人が小説を「読んだ・読みたい」、4人に1人が映画を「見て面白かった・ぜひ見たい」と回答した計算です。
実際に小説を読んだり映画を見た人だけでなく、「読みたい」「見たい」という希望者も含むTBS総合嗜好調査の結果は、いわば潜在顧客も見込んだ、それぞれの作品のポテンシャルを表したものといえるかも。
毎年世に出る数多の書籍や映画を、アンケート調査の限られた紙面で網羅するのは無理。そのため、日頃アンテナを張って質問項目を検討している担当者が「これは調査で取り上げたい」と思う程度には話題になる必要があり、選択肢に挙がるのはそれなりに露出しているものばかり。そのベスト10でも多くが一ケタ台の選択率のところに、ドーンとそびえ立っているのが『国宝』であり、その特異さがよくわかります。
では、小説や映画の『国宝』に接したり関心を持っているのは、どんな人なのか。それをデータで少し掘り下げてみます。
なお、この先では、映画『国宝』を「見て面白かった・ぜひ見たい」人を「映画◯」、小説『国宝』を「読んだ・読みたい」人を「小説◯」、そうでない人を各々「映画✕」「小説✕」と書くことにします。














