春闘交渉で必要な「4つのこと」
では、春闘のやり方をどう変えるべきなのかー
去年秋、持続的な5%超の賃上げ実現の提言を行った連合の評価委員会(未来づくり春闘)で「実現する為の4つの提言」をまとめている。

【提言1】過去のインフレ実績ではなく“将来のインフレ見通し”を要求基準に反映させる
『東京大学』名誉教授 渡辺努さん:
「春闘は“過去のインフレ率”がどうだったかを常に反映させる仕組みになっている。例えば26年春闘なら2025年度のインフレ率」
――過去の分だけ上げてくれとなると、翌年も同じように上がるとまた追いつかないというのが続いてしまうと。
渡辺さん:
「そこがイタチごっこになっていて実質賃金が下がってしまう理由。なので、過去のものではなく26年なら26年度、あるいはそれ以降にどれぐらいインフレになりそうかの見通しをしっかり作って春闘の賃上げの要求に反映して欲しいということ」
【提言2】“実質賃金がマイナスの場合、後の賃上げで補う”キャッチアップの仕組みを導入
渡辺さん:
「今年だけでなく昨年も、その前もマイナスだったのだからその分をのせてくれということ。それを言う権利を組合に認めるべきだし、経営者の方もそう言われたらたしっかりと対応するという条項、約束事を両者で作るべき」
【提言3】“人手不足要因”を明確に要求基準に反映させる
渡辺さん:
「もちろん人手不足なのでしっかりと賃上げしたいということは労働組合の交渉の場で行われている。ただ、どのぐらいの人手不足で、だからこのぐらいの賃上げが欲しいというような、定量的なことは一切起こっていない。学者がそういうことをきちんとやらなかった面もあるが、きちんと数字に出して経営陣にぶつけるべき」
――つまりこれくらい賃金を上げれば人手不足が解消するだろうという仮説を作って、それに応じた額を上乗せすればいいじゃないかと。

渡辺さん:
「人手不足要因を考えたときに、現状でいうと3%ぐらい実質賃金が低すぎると思うので、その3%を3年間に分けて1%ずつ余分に要求していくとちょうどいい。5%に1%をのせて6%ぐらい要求したらどうかと連合の芳野会長にも言ったが、色んな事情もあるらしくそうはならなかった。ただ、大企業は明らかに賃上げする体力があると思うし、中小企業も賃上げを行っていかないと格差が広がってしまう。連合は少し低めにいっているが、実際に交渉される際は6%ぐらいをめどに考えてもらえたらと思う」
【提言4】情報発信で労働者の“賃金予想を安定化”
――渡辺さんはデフレ時代に、慢性デフレの原因を研究しいろんな提言をしてきた。物価を上げることが大事だと話しその通りになってる。ところが賃金が追いつかないので「だったら物価下げてよ」という感じになっているが、ここが勝負どころだと。
渡辺さん:
「いろんなデータを見ても、物価と賃金が上がる状況が作られてきているのは間違いないと思うが、最後のピース、実質賃金が上がっていかない。それから先々の実質賃金についても皆さんの自信が持てないという、ここが最後に残ったハードル。そこを何としてもクリアすることがまず大事」
そのためには、まず足元の実質賃金を上げることが必要だが、政府の役割も大きいという。
渡辺さん:
「政府が実質賃金の先行きについて、『この政策で5年後10年後にはこうなる』と見せて約束していくことが大事なのではと思う。消費税減税とかそういうことではなくて、賃金を上げていくことをコミットしていくことが今求められている」
(BS-TBS『Bizスクエア』 2026年1月24日放送より)














